相手によって異なる不動産仲介業者の説明(建物の価格)

不動産業界でなくとも営業職についている人ならば身に覚えがあるかもしれませんが、話す相手によって同じテーマの話であっても説明内容を変えるということがあります。「そんなことは当然だろう」と考える人もいれば、「そんなひどいことがあるのか?」と少し憤りを感じる人もいるかもしれません。

住宅の売買においてもよく見られることで、不動産会社の営業マンも相手によって説明内容を変えることは少なくありませんので、この点にあまり警戒心を持っていない人ならば注意しておいた方がよいです。

例えば、中古住宅の売買価格についての説明ではよく以下のような説明があります。

○自宅の売却依頼を受けた不動産会社が売主に対して行った説明

「査定価格は○○○円になっています。実際の建物の価値は、建物がもう古いので0円だと思ってください」
「築25年も経過しているので、建て替えも近いし、解体費用もかかりますから」

○同じ物件に関して見学へ来た買主に対して不動産会社が行った説明

「築25年になりますが、クロスやフローリングを張り替えて綺麗にすれば、まだまだ住めるので建物の価格を500万円ぐらいはみています」

上の2つは同じ中古住宅に関して、売主と買主という違いに応じて説明内容を変えていますね。臨機応変といえばそうなのですが、、、

売主は自宅をできる限り高く売りたいと考えるものです。しかし売り出し価格が高すぎては、なかなか売れずに成約しませんから、不動産仲介業者としてはもっと価格を下げてもらえるように交渉しているわけです。

一方で買主はできる限り安く買いたいと考えるものですが、希望の購入価格が安すぎてはこれもなかなか成約しませんから、もっと購入価格を引き上げてもらえるように説得しようとしているわけです。

売主にとっても売りたいのであれば現実的に売れる価格にした方がよいですし、買主にとっても買いたいのであれば買える価格で購入申込した方がよいとも言えます。ですから、不動産会社の交渉や説得という行為は何も悪いことではないかもしれません。

土地の価格に比べて、建物の価格はわかりづらいものです。特に中古住宅となれば、築年数や面積のほかに建物の劣化の程度や欠陥の有無なども、その建物の本当の価値には影響してくるものです。そういったことを買主が適切に判断することは困難です。いや、不動産仲介業者でも劣化の程度や欠陥の有無まできちんと把握して建物の価値を考えられている人は非常に少ないです。

少し話がそれましたが、その住宅の売買にかかわる当事者としては、売主であっても買主であってもよい判断をしていくために、不動産会社が相手によって説明を使い分けることがあることを知っておいた方がよいでしょう。

 

執筆者:専門家

 

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