不動産仲介業者を信用できないときに仲介業者を変更できるか

住宅を購入しようといろいろな物件を見てきた人の悩みの1つに「不動産仲介業者を変更できないか?」というものがあります。住宅を探している人の全てに生じるものではなく、一部の人にとって大きな悩みとなることがあるものです。これは、新築住宅でも中古住宅でもありうることです。

どういうことかと言えば、次のようなケースです。不動産仲介業者のA社に紹介してもらって見学した物件Xをあなたが気に入ったとします。立地や大きさ、間取りは概ね希望の通りであり、価格も納得できるものでした。それだけに購入の申し込みをして売買契約をするという流れに入ろうとしています。

しかし、A社の担当者B氏が頼りなく、あなたが質問したことに的確に回答してくれないばかりか、「調べてから連絡する」と言っておきながら連絡をもらえていません。こういったことが何度か繰り返された挙句、購入しようとしていた物件について大事なことで知らされていないことがあることが発覚しました。

それでも、あなたはその物件Xを気に入っており購入したいという想いが強い。こういったケースは、実は住宅購入をするうえで誰もが遭遇することのありうるもので、実際にその場面に直面した場合、大いに悩むことでしょう。

物件は気に入っているが、担当者が信用できない(もしくは不動産会社が信用できない)ため、できれば不動産会社を変更したいという悩みです。

担当者や不動産会社が信用できない場合、大きな買い物をする買主の立場としては、仲介業者を他の会社に変更したいと考える人も少なくありません。その気持ちはよくわかることです。それが実際にできるかどうかです。

結論からいえば、不動産仲介業者の変更が可能な場合もあります。必ずできるかと言えば、そうではなく難しい場合もあります。これを理解するためには、不動産仲介の仕組みを理解しておく必要があります。

不動産(住宅など)の仲介は、売主と買主の間に介在する不動産仲介業者が1社のみである場合と2社である場合があります。

不動産仲介の仕組み

2社の場合は上図のような関係になりますが、1社の場合は上図の仲介業者(売主側)と仲介業者(買主側)の両方を1社が兼ねるということです。前の例で示したA社は、仲介業者(買主側)です。

1社のみの場合では、その1社を信用できないので変更したくとも、売主がその1社にのみ売却を依頼していると基本的には他の不動産会社を介して取引(売買)することが大変困難になります。売主が他の不動産会社にも売却を依頼している場合(つまり売主側が他にもある場合)は、変更できる可能性があります。

上図のように2社である場合には、仲介業者(買主側)を変更することで可能になります。しかし、仲介業者(買主側)に物件を紹介してもらってから他社に変更する場合、買主に正当な理由がないと断った仲介業者(買主側)A社から仲介手数料を請求されるトラブルに発展する可能性もあるため、慎重に対応しなければなりません。

単に信用できないということを主張するだけではなく、具体的な対応の問題点を記録するなどして、後々のトラブルに備えましょう。また、変更後の不動産会社には正直に状況を話してどういった対応がよいか話し合ってみてはいかがでしょうか。

執筆者:専門家

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