新築住宅の施主検査の基礎知識と引き渡しまでの流れ・チェックポイント

施主検査の基礎知識

新築住宅を契約し、完成・引渡しが近づいてくると、ハウスメーカーや工務店から施主検査の案内が来ますが、そのときになってから「施主検査とは何か?」「何をすればよいか?」「自分たちで問題なく対応できるのか?」「入居してから後悔しないだろうか」と不安を感じる人も多いです。

今回は、施主検査の必要性や所要時間などの基礎知識、施主検査の前後の流れ、チェックポイント、実際の指摘事例などを紹介しますので、立会いする前に学んでおきましょう。

対象となる人は、注文住宅を建築している人ですが、新築の建売住宅を購入して引渡しが近い人にも十分に役立つ内容となっています。施主検査(引渡し前の竣工検査)の前に読んで欲しい記事です。

具体的に記事内容は以下の5つのポイントに分けて紹介しています。

  • 施主検査の基礎知識
  • 契約から施主検査、引き渡しの流れ
  • 第三者の立会いの必要性
  • 施主検査で見るべきチェックポイント
  • 施主検査で見つかった施工不良の事例

必要なところから読み進めても大丈夫なように記載しています。

施主検査の基礎知識

最初にご紹介するのは、新築住宅における施主検査の基礎的なことです。そもそも施主検査がどういうものかわからずに、適切に対応するのは難しいですから、まずはここを抑えておきましょう。ちなみに、施主検査の読み方は「せしゅけんさ」です。施主を「せしゅ」と読みづらい人もいるので、覚えておきましょう。

施主検査とは何か

建物を新築して完成した後、引渡し前のタイミングで、建物の施工品質や契約通りに完成しているかチェックしますが、それを竣工検査または完成検査と言います。これは、建築工事の元請け業者や発注者、買主などが行う検査です。

注文建築で家を建てる場合、発注者、つまり施主は消費者です。建売住宅を買う場合は買主が消費者です。よって、その住宅を取得する消費者も竣工検査(完成検査)を行う立場となりえます。

このうち、建築工事の発注者(施主とも言う)が行うものを施主検査と言います。よって、注文建築で家を建てる消費者が行う検査は施主検査です。ちなみに、ビルやアパートなどでも施主が行う検査なら、同じく施主検査と呼びます。

建築途中の施主検査もある

施主が行うから施主検査というのであって、完成後に行う検査に限定するものではありません。たとえば、基礎工事中に行う配筋検査や構造躯体の金物検査も施主が行うことがあり、これらも施主検査と言います。

ハウスメーカー等から施主検査の打診を受けたときには、建築途中で行うものか、完成後に行うものか確認してください。

検査の所要時間

施主検査の所要時間は、建物の規模やどこまでチェックするかなどの諸条件により、大きな差異があります。建物面積が100平米で床下・小屋裏(屋根裏)への進入調査まで第三者の専門家(ホームインスペクター)に依頼すると、3~4時間程度の時間がかかります。

施工が粗くて指摘事項が多いときや、ハウスメーカー・工務店の担当者の対応などの状況次第では、もっと時間がかかる現場もあります。

専門家に依頼せずに施主(建売なら買主)が自分で対応する場合は、細かなチェックポイントも不明なこともあってか、1時間くらいで済ませることが多いです。建築会社側を信用する場合はこれでもよいかもしれませんが、後述する「第三者の立会いの必要性」も参考にして検討してください。

施主検査に立ち会う人は誰か

施主検査の当日に立ち会う人は誰なのか説明しておきます。誰が来るか知りたいというのは、意外とよくある質問の1つです。

ハウスメーカーや工務店側

  • 営業担当者
  • 設計者(建売なら立ち会うことはほとんどない)
  • 現場監督

施主側

  • 施主(家族も)
  • 施主が依頼した専門家(任意)

その他

  • 土地の売買仲介をした不動産業者(建売なら土地・建物を仲介した業者)

ただし、土地のみを仲介した不動産業者で建物に関与していないケースでは立会いしないことが一般的です(立ち会う意味もない)。

建築した工務店が小さな会社の場合は、社長が立ち会うこともあります。

施主や買主の持参物

注文住宅の場合の施主や建売住宅の場合の買主が、施主検査(竣工検査)の際に用意しておくべき物を紹介します。

  • 筆記用具とメモ用紙(タブレット等でもよい)
  • 設計図(平面図・立面図・配置図)
  • カメラ(スマホのカメラ機能で十分)
  • メジャー
  • マスキングテープ
  • 懐中電灯
  • チェックリスト
  • スリッパ
  • 飲み物
  • 防寒着等の季節対策

できれば、以上のものを用意しておきましょう。

スリッパはハウスメーカー側で用意していることも多いですが、小さな工務店の場合にそこまで用意されていないことも少なくありません。

マスキングテープも本来はハウスメーカー側で用意しておき、指摘箇所にマーキングしていくべきですが、なぜか用意していないこともあるので、施主が自分で用意するのも方法です。

設計図は、図面通りに完成している確認するためにも必要ですが、指摘箇所をメモするときにも役立ちます。図面の該当箇所に記載すると後で確認しやすいですね。

施主検査が無いこともあるか

完成した建物の施工不具合などを確認するほどの大事な機会ですから、施主検査の場を設けるのは、建築業界全体としては当たり前のことですが、一部の建築会社では、施主検査の場を設けようとしないこともあるため、注意が必要です。

完成日が近づいても工務店などから、施主検査の案内が無い場合には、施主の方から「施主検査はいつするのか?」と尋ねてみるとよいでしょう。それに対して「施主検査はしない」などと返答された場合は、信用できない業者ですから、しっかり交渉してその場を設けてもらってください。

参照:新築住宅の竣工検査(完成検査・施主検査)の目的と注意点

契約から施主検査、引き渡しの流れ

注文住宅の工事請負契約から、建物の完成、引き渡しと続く流れについて解説します。

  1. 工事請負契約を締結(手付金を支払い)
  2. 地鎮祭(任意)
  3. 着工(工事に着手)
  4. 上棟(任意で上棟式)
  5. 完成
  6. 施主検査(専門家の立会いもこの時に行う)
  7. 是正工事(手直し工事)
  8. 是正後の現地確認
  9. 引き渡し(同時に残代金の決済)
  10. 入居

一般的な注文住宅の契約から完成・引渡し・入居までの流れは以上のとおりです。未完成の建売住宅を売買契約したときも、これと大きく変わりませんが、地鎮祭や上棟式はないですね。

第三者の立会いの必要性

施主検査は、引渡し前に施工不具合の有無をチェックする大事な機会ですから、施主が自ら契約した第三者の検査会社(ホームインスペクション業者)によるホームインスペクションを入れることも多いです。

こういったサービスを施主検査立会いや竣工検査代行サービス、内覧会立会いサービスなどと呼んでいることもあります。いずれにしても、建築知識・経験がない人にとって、代わりに施工不具合の有無をチェックしてくれるのは心強いものです。

ハウスメーカーや工務店に施主が自ら指摘事項を伝えても、「それはそういうものです」とか「問題ないです」と言われてしまっても、それが本当かどうか判断できずに、心配が残ってしまうケースも少なくありません。また、自分達では気づかない点まで指摘してもらえることも多いので、メリットは小さくありません。

あまりにも施工が雑で酷いものであれば、最悪の施主検査となってしまったとの声を聞くこともあります。引渡し後に後悔することのないように、第三者の専門家に依頼することはお勧めで、必要性も高いと言えるでしょう。

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施主検査で見るべきチェックポイントとチェックリスト

引渡し前の完成時の施主検査において、施主が確認しておくべき範囲は以下のとおりです。

【建物外部】

基礎、外壁、軒裏、屋根、バルコニー、雨樋、外構(フェンス・塀・土間コンクリートなど・玄関ポーチ等)

【建物内部】

床・壁・天井、水回り設備、建具・サッシ

【床下】

基礎、土台等の床組み、配管・断熱材

【屋根裏・天井裏】

梁等の小屋組み、配管、断熱材

より細かな調査項目の一覧については、「住宅診断(ホームインスペクション)の具体的な調査項目」をご参照ください。見ておくべきポイントが多いので驚くかもしれませんが、大事なことなので、一度ご確認ください。

施主検査で見つかった施工不良の事例

最後に、実際の施主検査で見つかった施工不良の事例を紹介します。一部は、写真もつけていますので、参考にしてください。

基礎のひび割れ

基礎のひび割れ

床下で見つかった構造耐力に影響を及ぼすひび割れ(構造クラック)です。新築完成時点でもこういった構造クラックが見つかることは少なくありません。

外壁の配管貫通部の隙間

配管貫通部の隙間

外壁や基礎は、配管などが貫通する部分が多いですが、その貫通部分の周りを適切に防水処理しておかないと漏水の原因となってしまいます。これは本当に多い指摘事項です。

外壁の小さな穴

外壁の穴

外壁に雨樋などを取り付ける際、誤った箇所に金物を取り付けた後に移動させることがあります。誤って開けた穴を放置していると漏水の原因となってしまうので、防水処置が必要です。

床下の漏水

床下漏水

新築住宅の施主検査のタイミングで漏水などしているわけがないと思いがちですが、意外と見つかることがあります。水周り設備で排水テストをした後に漏水が確認されることもありますし、基礎の打ち継ぎ面から浸水する事例などもあります。

床下のカビ

床下のカビ

床下で漏水しているときに床下の木部などでカビが確認されることがあります。漏水を確認していないときにもカビが発見されることがありますが、そういったときは床下換気の状態に異常がある可能性も考えなければなりません。

床下の断熱材不足

床下の断熱材不足

部分的に床下断熱材を設置忘れしていることがあります。また、設置していても、すぐに落ちてしまっている事例もよくある指摘です。断熱材の施工ミスの指摘は非常に多いので、よく見ておくべきチェックポイントです。

屋根裏(小屋裏)の断熱材の施工不良

屋根裏の断熱不良

屋根裏でも断熱材の施工不良はよくある指摘です。写真のケースでは、一部で煩雑に設置されている状況が見られますが、断熱不良となるので是正が必要です。

床・壁の著しい傾斜

床の傾斜

新築完成時点で既に傾きがあるとなれば、ショックを受ける人もいますが、実際にこの指摘が見つかっている事例もあります。傾きが著しい場合などでは、原因調査や経過観察後の再調査が推奨されることもあります。結果次第では、専門家に相談の上で対応を検討しましょう。

ここで上げた指摘事例は、ごく一部のものです。他にも、ポーチ等のタイルの浮き、換気設備の動作不良、外壁材の継ぎ目等の防水施工の不備など様々な指摘が上がることがあり、見つかる事項によっては、決して小さなトラブルとは言えないものも多いです。

できる限り、見落としすることのないように、時間をかけて施主検査に臨んでください。

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