中古マンション購入の注意点(管理・賃貸・ペットも要チェック)
中古マンションを買うときのチェックポイントはいくつもありますが、今回は管理面のことや賃貸住戸の有無、事務所使用、ペット問題のことなどをお話しします。いずれも購入判断をするうえで大切なことですから、契約前に読んでおいてください。
中古マンションの管理費等の滞納リスク
前回は、管理人や管理会社に「長期修繕計画」について確認しておくことをお話しました。管理や長期修繕計画は中古マンションの購入判断のためには非常に大事なことです。
そこで、今回のコラム以降は管理人や管理会社などには、ほかに何を確認すべきかをお話します。
まず、「管理費や修繕積立金の滞納者の有無」を確認しましょう。
自分自身が購入しようとしている住戸の所有者(=売主)が滞納していないかどうかの確認は当然に大事なことです。滞納がある場合は、所有者(=売主)が引渡しまでに全てを支払うことを条件で購入することになります。
実は、この「管理費や修繕積立金の滞納者の有無」の確認は、他の住戸の所有者が滞納していないかどうかも重要です。
たとえば、修繕積立金を複数住戸が長期間(例えば、半年以上の期間)にわたって滞納している場合、実際に修繕工事などを行う際に積立金不足に陥る可能性があります。その場合、修繕工事が遅れることもありますし、修繕工事を縮小してしまい維持管理が適切に行われないこともあります。
本来あるべき、そのマンションの管理組合の財産がないわけですから、資産価値としてもマイナスですね。
なかには、以前の所有者が滞納した管理費等を新しい所有者が支払わずに管理組合と揉めているケースもあります。
「管理費や修繕積立金は自分さえ払っていればいい」というわけではないのです。よく覚えておきましょう!
中古マンションは賃貸住戸の数もチェック
管理人や管理会社に確認できることはまだまだあります。今回は、「賃貸している住戸の数」についてのお話です。
分譲マンションを賃貸するケースは多いです。購入後に転勤などの理由で引越しをして賃貸するわけですね。皆さんのなかにも「将来は賃貸すればいいか」と考えている人も多いと思います。
賃借人(=部屋を借りている人)にとっては、そのマンションは自分の財産ではありませんが、所有者にとっては非常に大事な財産ですね。ここに温度差が生じることがあります。
「自分の財産だから大切にしたい」と考える人と「とりあえず借りているだけだから」と考えている人の意識の差があっても仕方がないかもしれません。
共用部分を汚すなどのように扱いが粗くなることもあります。所有者だから丁寧だとは限らないのですが、確率の問題です。
賃貸住戸の所有者は自分自身が居住していないために、そのマンションの維持管理や修繕への意識が低くなりがちでもあります。
たとえば、修繕積立金の増額など、支出の増加に対して否定的な方が多くなってしまいます。「自分が住んでないから多少痛んでいてもいいか」と考えてしまうのは、ある意味自然な流れかもしれません。
しかし、適切な修繕計画を実行しないとマンションの劣化が早く進み、その結果、かえって修繕費用が高くなったり、資産価値が下がったりするリスクがあります。
一方で、所有者であり居住者でもある方にとっては、しっかりした管理体制を築いておきたいところです。今は、マンションに永住しようと考えて購入される方が本当に多いです。そのような方にとっては非常に大きな問題ですね。
築年数にもよりますが、「賃貸している住戸の数」が多数ある場合は、この点も考えて判断しましょう。なかには、新築マンションでも多くの賃貸向け住戸がある場合もあるほどです。
ちなみに、購入予定の住戸が賃貸住戸と隣接していないかも確認しておきましょう。賃借人(=部屋を借りている人)のマナーが悪い場合も心配されます。購入前に把握しておくかどうかだけでもかなり違いますね。もちろん、購入後に賃貸されることもありますので、その場合は仕方ないですね。
中古マンションの事務所とペットの問題
管理人や管理会社に確認できることの続きをお話します。
マンションを買って事務所として使用していることがあります。また、マンションの所有者から借りて事務所として使用していることもあります。これは結構多いですね。
通常のマンションなのに、居住用として使用している人と事務所として使用している人がいるのです。
マンションは、管理規約などで事務所としての使用を禁じていることが多いです。しかし、逆にマンションによっては事務所としての使用を認めていたり、そもそも用途を定めていないこともあります。
築年数の古い中古マンションほど、用途を定めていないことが多いようです。そして、都心のマンションほど、事務所としての使用を認めているケースが多いです。
事務所として使用している住戸がある場合のマイナス点としてですが、事務所を訪れる人が出入りする(不特定多数の人が出入りする)可能性があるので、防犯上の問題が生じます。
住人以外の方が多く出入りすることは、本来、マンションとしては歓迎できないことです。
そして、もう1つの問題点は、事務所から生じる音です。もちろん、業種などにもよりますが、頻繁に電話が鳴ったりコピー機の音が響いたりするかもしれません。
私が以前にお客様と一緒に訪れたマンションでは、エレベーターを降りて共用廊下を歩いているときに、ある住戸の中からガタン、ガタンという音が聞こえていました(何の作業をしていたのかはわかりませんでしたが)。
もし、訪れたときに音が鳴っていなかったら気づかなかったかもしれません。しかし、事務所として使用する住戸があることが事前にわかっていれば、売主や管理人などに音の問題などが生じていないか確認することもできます。
実際に事務所として使用されている住戸があるかどうかは、管理人に確認すると良いでしょう。そして、マンションの1階などにある集合ポストの表札を確認することも有効な手段です。必ず、チェックしておきましょう。
ちなみに、事務所がある場合に最も心配される住戸が、その事務所の隣戸ですね。ですから、購入予定の中古マンションの住戸の隣が事務所でないかどうかもしっかりチェックしておきましょう。
管理規約で事務所の使用を認めているときは、その業種や使用方法などに細かな制限があり、他の居住者に配慮されているかも確認しておきましょう。
管理人に確認することとしては、ペットの問題もあります。
これは、単に、そのマンションが「ペット禁止」かどうかを確認するだけではありません。実際に、ペットを飼っている人がいるかどうかが重要です。
ペット禁止なのに違反してペットを飼っている人は多いものです。よくペット禁止のマンションで、エレベーターやエントランスの入居者向けの掲示板などに、違反者への警告が貼ってあります。
違反者がいるかどうか、どれぐらいの違反者がいるかどうかも、中古マンションの大事な購入判断の材料となります。また、管理人や管理組合がそれをしっかりと把握しているかどうかで、管理への意識の高さもわかります。
購入予定住戸の両隣や上下階がペットを飼っているかどうかも確認しておきましょう。
ペットについては、飼育可であっても細かなルールを決めているマンションと特に決めていないマンションもあります。「小型動物はOK」となっていたり、「体長50cmまではOK」と大きさを数値でルール化していたりするマンションもあります。
ルールがある場合には、そのルールが守られているかどうかも重要ですね。
中古マンションの居住者・管理状況など
中古マンションを買うときに管理人や管理会社に確認できることをお話していますが、以下も引き続きお話したいと思います。
中古マンションに限らず、「新居の隣人って、どんな人だろうか?」と気になりませんか?その中古マンションを購入すれば、当然のことながら、長いお付き合いをしていくことになるのです。
(隣人なのに顔も知らないということもありますが)
そこで、中古マンションを買う時は、隣人に限らず、そのマンションの居住者のイメージだけでも掴んでおきましょう。もちろん、プライバシーの問題もありますから、行き過ぎないように注意しましょう。
たとえば、入居者の年齢層です。
仮に、あなたが30歳台のご夫婦だったとして、購入した中古マンションの入居者が高齢者ばかりだったら・・・
今、住宅を購入しているのは20歳台後半から40歳ぐらいまでの方が非常に多いです。しかし、中古マンションの場合は以前からそのマンションに居住されている方がいるわけですから、新しい購入者との世代の違いがあるのは当然ですね。
しかも、大半が高齢者であった場合にご近所付き合いをする上で悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。管理組合の理事会でも蚊帳の外になってしまっては困りますね。
ある程度で結構ですから、「どれぐらいの年齢層の方が多いか」管理人に聞けるといいですね。
また、入居者については、「ワンルームや1LDKのように単身世帯向けの住戸がないか?」も重要な問題です。
一人暮らしの方はマンションの管理への意識が低いケースがあるので、管理面でマイナスとなることがあります。また、賃貸人が入居される可能性が高いのですが、賃貸で入居される方次第では、騒ぐことが多くて騒音問題に発展することもあります。
- 単身者世帯向けの住戸が多くないか?
- 購入予定住戸と接していないか?
よく確認しておきましょう。
次に、事前に知っておいた方が良いことを挙げます。簡単に確認できることですから是非確認をしておきましょう。
- 管理組合の理事はどのように決めているか?
輪番制が多いですが、購入してすぐに管理組合の理事になっても不慣れなことが多くて大変です。その中古マンションを購入した場合には、いつ理事の順番が回ってくるか事前に確認しておきましょう。
なかには、昔からずっと同じ人が理事や理事長を務めているマンションもあります。「自分が理事にならなくてもいいから良かった」なんて思っている場合ではありません。
管理会社と個人的に親密になって管理会社へ便宜を図って問題となることもありますし、管理組合の金銭を使い込んで問題になったマンションも実際にあるのです。やはり、マンションの管理には全員参加が好ましいですね。
そういう意味でも、そのマンションの管理組合が適切に運営されているかどうか、居住者の管理への意識が高いかどうかは、非常に大事です。
- 理事会の開催頻度は?(毎月1回が好ましい)
- 総会の開催頻度は?(年1回が好ましい)
- 理事会の理事の出席割合は?(理事が責務を果たしているか)
- 総会の出席割合は?(住民の管理への関心度が高いか)
- 理事会の議事録を残しているか?
これらをチェックすることで、マンションの管理組合の運営状況や居住者の管理への意識の高さが想像できますね。そして、購入直後に諸々の条件に変更があっては、「そんなこと聞いていなかった・・・」なんてことになってしまいます。
以下のことも確認しておきましょう。
- 修繕積立金が上がる予定はないか
- 駐車場や駐輪場の使用料の変更の予定がないか?
また、変更が決まっていなくても理事会で議題になっていないかも確認できれば安心です。このときに、管理規約や使用細則についての変更が話題になっていないかも合わせて確認しておきましょう。
ペット嫌いなのに、入居してすぐにペットOKに変更になっては大変ですよね。