買主目線で見る住宅診断(ホームインスペクション)のメリット・デメリット

住宅購入時に利用される住宅診断(ホームインスペクション)が注目を浴びており、新聞や雑誌、テレビで取り上げられることも本当に多くなりました。住宅診断(ホームインスペクション)に関するニュースや話題は、毎週のように報道されています。

多くの場合、買主が希望することによって住宅診断(ホームインスペクション)が利用されていますので、買主目線で住宅診断(ホームインスペクション)のメリットとデメリットをまとめてみます。

住宅診断(ホームインスペクション)のメリット

住宅の買主にとって、建物の不具合や瑕疵の有無を知ることのできる住宅診断(ホームインスペクション)のメリットとしては以下のものがあげられます。

  • 補修が必要な箇所を把握できる
  • 専門家の客観的な意見を聞くことができる
  • 買主が気づいていないことがわかることがある
  • 住宅購入の参考にできる

上記について1つずつ見てみましょう。

補修が必要な箇所を把握できる

新築住宅でも中古住宅でも、不具合などがあれば、それを補修したいものです。新築であれば、売主や建築業者に対して補修を要求し、中古であれば買主が購入後に補修するか売主に補修を求めるか(一般的には前者が多い)検討します。

補修すべき重大なものがあるにも関わらず、知らずに購入してから買主が負担することになっては大変ですね。

専門家の客観的な意見を聞くことができる

住宅診断(ホームインスペクション)は、当然のことながら一級建築士などの専門家に診断してもらうものです。専門家の客観的な意見やアドバイスを聞くことができるのは、高額な買い物をする人にとって有意義なものであるのは言うまでもありません。

但し、客観的な意見を聞くためにも、その売買(取引)と多少なりとも利害関係のある会社や人ではなく、利害関係のない第三者を買主が自ら探して依頼する必要があります。客観性、第三者性の欠ける住宅診断(ホームインスペクション)では、この大きなメリットを失うことにもなります。

買主が気づいていないことがわかることがある

一般的な住宅購入者(買主)は建築の専門知識や経験がありません。物件を見学したときに素人なりにも気づくことはありますが、専門家だからこそ気づくという点もあります。買主が気づいていないことがわかることは大きなメリットです。

また、買主が建物を見て何かの症状に気づくことがあっても、それをどう解釈するか、判断するかが大変重要です。例えば、外壁にひび割れ(クラック)があることに気づいても、それが心配する必要のないものか、補修等の対応を要するものか、さらには重大な瑕疵や劣化であるものか判断するのは困難なことが多いです。

そういった症状についても専門家の意見やアドバイスを聞くことができるのは心強いです。

住宅購入の参考にできる

補修すべき点を知ったり、専門家の客観的な意見を聞いたりできるということは、つまり住宅の購入に際して参考になる情報を得られるということです。これは大きなメリットです。

住宅診断のデメリット

住宅診断(ホームインスペクション)のデメリット

次に買主にとってのデメリットについても考えてみましょう。以下のデメリットが考えられます。

  • 売買(取引)が遅くなることがある
  • 住宅診断(ホームインスペクション)へ立ち会う必要がある
  • 売主や不動産仲介業者の了承を得る手間が生じる
  • 一部の不動産業者や営業マンが嫌がる

上記について1つずつ見てみましょう。

売買(取引)が遅くなることがある

住宅診断(ホームインスペクション)をするということは、売買契約の前のスケジュールにその診断日を設定しなければなりません。そして、その診断結果を待つ必要もありますから、1~7日程度の日数がかかります。

取引を急いでいないときには何ら問題はないかもしれませんが、他の人が先に購入する可能性があるときなどには、早い対応が望まれます。診断結果が書類で送付されてくるのを待つ余裕が無い場合には、診断当日に現地でじっくり解説を聞くなどの対応を検討するとよいでしょう。

住宅診断会社に相談して、早めの実施も希望しましょう。

住宅診断(ホームインスペクション)へ立ち会う必要がある

住宅診断(ホームインスペクション)という現場での調査作業は、依頼した住宅診断会社に任せておいて買主が立ち会わずとも物理的には実行可能です。

しかし、現地で診断に立ち会って、調査内容・項目・結果を見て、感じておくことはきっと買主にとって有意義なものとなります。スケジュールにゆとりがないときでも、ゆとりがあるときでも立ち会うことをお勧めします。

一部の不動産業者や営業マンが嫌がる

住宅診断(ホームインスペクション)の利用は一般化してきましたので、今では買主が住宅診断(ホームインスペクション)を入れることに対して露骨に拒否することは非常に少なくなりました。それでも、一部の不動産業者や営業マンのなかには嫌がる人もいます。

そこで、不動産業者や売主との関係を心配する人もいます。しかし、これはデメリットと言えばそうかもしれませんが、大事な住宅購入に際して、過剰に関係を意識しすぎるべきではないでしょう。本来であれば、不動産業者が買主のことも考えて積極的に住宅診断(ホームインスペクション)を段取りしてもいいぐらいです。

売主や不動産仲介業者の了承を得る手間が生じる

購入前の住宅診断(ホームインスペクション)は、売主に了解を得る必要があります。また、不動産会社にも日程調整などをしてもらう必要があります。

協力的な不動産業者や担当の営業マンであれば、この点は何らデメリットにはなりません。信頼できる不動産業者かもしれません。非協力的なら、この日程調整などの段取りに多少のストレスを感じることがあり、これがデリットと言えます。大事な買い物ですから、ストレスを感じても日程調整や書類準備などの段取りを頑張りましょう。

住宅診断(ホームインスペクション)には、メリットもデメリットもいろいろな項目があがりましたが、これを参考にして利用有無を検討してみてください。

また、買主ではなく売主から見たメリットやデメリットについては、「売主目線で見る住宅診断(ホームインスペクション)のメリット・デメリット」をご覧ください。

 

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