新築分譲業者と不動産仲介業者の関係で買主が損

皆さんが住宅を購入するときに、様々なことを結果的にわかりにくくしてしまっていることの原因の1つに「仲介」というシステムがあります。

仲介とは、住宅を買いたい人と売りたい人をつなぐ非常に大事な役割を担っており、本来ならば不動産取引の透明性を確保して売買の当事者にとって頼れる良い存在でなくてはなりません。しかし、そのような存在と言える不動産業者や営業マンはそう多くありません。

現実には、不動産業者と一般消費者の知識差や情報差をいいことに、不動産業者側の都合を最優先した仕事ぶりになってしまっていることが多いものです。不動産業者や営業マンは自己都合を優先して営業しているとは買主へは言いませんので、気づかない方は最後まで気づきません。「何かおかしいな」と違和感を感じておられる方は多いですが。

そのわかりにくい不動産取引のなかで、売主が新築住宅の分譲を行う不動産会社でその物件を不動産仲介業者を介して購入するケースについてのお話をしておきます。

買主側の仲介をする不動産仲介業者は、本来であれば買主の味方となって売主と様々な交渉を行ったり、買主へアドバイスしてあげたりするべき存在です。

しかし、その仲介業者が買主だけではなく売主の仲介も同時に行うことが非常によくあります。これは不動産業界内では当たり前のことなのですが、利害の相反する売主と買主の仲介を同時にして両者のために動くには少々無理が生じます。結果的にはどちらかの立場に寄った対応をすることが多いです(多くが売主よりです)。

もちろん、売主寄りの動きをしていても買主にはそのようなことは説明しませんので、買主は「そんなものなのかな」とやり過ごしている方も多いでしょう。

住宅売買の仲介

不動産業界では、ある程度の力関係が働いていまして、多くの分譲住宅を供給する不動産会社(売主)は不動産仲介業者にとっては大切な存在です。1組の買主は通常なら1物件しか購入しませんが、継続的に多数の物件を供給する売主は仲介業者にとって自然と大事な存在になるのです。

このようなケースにおいて、仲介業者が買主より売主の顔を見ているのはある意味自然と言えるかもしれません(良いかどうかは別として)。

そして、この数年、ローコスト住宅の供給で伸びている会社(パワービルダーなどと呼ばれる)は不動産仲介業者にとってはお得意様と言える地位を固めてきました。業界内の慣習を悪い意味で打破している部分もあって、不動産業者間での評判も良くないこともありますが、それでも物件の供給元は彼らにとっては大事な存在であることに変わりません。

こういった取引では、買主の立場をあまり考慮してもらえないこともあり、買主の「普通」の要望すらも軽く扱われて拒否されたり、回答を先延ばしされたりしていることが多いです。仲介業者も上記のような売主との関係は事業継続上、大事なことではあるのですが、買主が犠牲になってよい理由にはなりませんね。

何もこういったケースはローコスト住宅だけではなく、他の物件でも見られることですので、仲介業者に新築住宅を紹介してもらうときはこういった裏事情があることはよくわかっておきましょう。

次は、「不動産業者の嘘で買主が損をする(住宅流通の仕組みと実情)」です。

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