住宅購入の諸費用(住宅ローン代行手数料・固定資産税・適合証明書等)

住宅購入に必要な諸費用に関する項目ごとの解説(必要な理由・凡その金額など)の続きです。今回は、住宅ローン代行手数料(住宅ローン斡旋手数料)、つなぎ融資の金利、水道分担金、固定資産税・都市計画税の精算金、修繕積立基金・修繕積立一時金、フラット35の適合証明書、耐震基準適合証明書、住宅瑕疵担保責任保険の検査料・保険料、第三者検査の検査費用(ホームインスペクション料)です、

別の項目の費用については、以下もご覧ください。

住宅ローン代行手数料(住宅ローン斡旋手数料)

多くの方がマイホーム購入時に住宅ローンを利用されます。その住宅ローンを不動産会社が消費者へ案内・斡旋する場合に、かかることのある費用を住宅ローン代行手数料といいます。ほかにも、住宅ローン斡旋手数料などと呼ばれることもあります。

住宅ローンの利用者なら必ず支出するというわけではなく、不動産会社によっては不要な場合も多いです。

不動産会社が提携している金融機関(非提携の場合もあり)に住宅ローンの斡旋をする手間賃のようなイメージですが、不動産会社は簡単な処理をするだけでこういった費用を請求することが多い為に、良識者の間では否定的な意見が多いです。

仲介手数料を法定上限額で請求しつつ、この住宅ローン代行手数料も請求している場合には違法性の疑いもあるので注意しましょう。

一方で、自分自身で金融機関との手続きをする場合には免除されることもありますので、一度、不動産会社に聞いてみましょう。

また、その金額ですが、0円~10万円程度の場合が多いです。稀に、30万円や50万円などとかなり法外な金銭を要求するような場合も見られ、そのような不動産会社から購入すべきかどうか検討した方が良いでしょう。

つなぎ融資の金利

住宅ローンを借りるときに、その資金が融資される前に購入資金を売主へ支払う必要があるときは、仮に融資を受けることがあります。これを「つなぎ融資」と言います。借りたい住宅ローンの融資実行がその金融機関の融資条件などの理由で間に合わない場合に必要となるものです。

たとえば、フラット35を利用する人が、その融資実行が決済日(代金の支払日)に間に合わない場合に、よくつなぎ融資が利用されます。

この場合、フラット35の取り扱い金融機関がつなぎ融資を実行いたしますが、全ての金融機関が扱っているわけではないため、申し込み前によく確認しておきましょう。

水道分担金

水道分担金とは、新しく水道を引く場合に必要な費用で、自治体へ支払うものです。新築住宅の場合に必要となることがあります。

その金額は、自治体によって異なるので、購入検討物件のある自治体に確認することになりますが、まずは不動産会社に確認しておきましょう。凡その金額としては、10万円以下の場合もあれば30万円程度の支出となることもあります。しかし、自治体によっては、水道分担金のないケースもあります。

固定資産税・都市計画税の精算金

不動産を所有すると固定資産税と都市計画税という税金が、その不動産の所有者に課せられます。

この税金は、毎年支払う必要のあるものであり、その年の1月1日時点で固定資産課税台帳に登録されている方に対して請求されます。1月1日の所有者が納税義務者ということです。

しかし、年の途中で不動産を売買した場合に、その年の分の税金を1月1日時点の所有者が全額を負担するのはおかしいですね。そこで、日割りで精算するわけです。ちなみに、精算する際の起算日を1月1日とする場合と4月1日とする場合があります。

修繕積立基金・修繕積立一時金

マンションを購入した場合に必要となる諸費用です。

但し、全てのマンションに関して必要というわけではありません。マンションを維持・管理していく上で、共用部分の補修などに充てられるものとして、修繕積立金があります。これは、毎月、所有者が支払うものです。

この毎月の修繕積立金だけでは、資金が不足すると考えた場合には一時にまとめて積立金を集めることがあります。これを修繕積立基金(または修繕積立一時金)と言います。

新築マンションを購入して入居する際に支払うことや、数年毎に何度も徴収することもあります。長期修繕計画をチェックして確認しておきましょう。

特に、中古マンションを購入してすぐに修繕積立一時金を請求されることもあり、思わぬ負担でショックを受けることもあります。

フラット35の適合証明書

住宅金融支援機構のフラット35を利用する際に必要となるのが、適合証明書です。 これは、対象物件が住宅金融支援機構の定める基準を満たしているかどうかを判定し合格した場合に取得できるものです。

この適合証明書がないとフラット35の融資を受けられません。検査機関が検査を行い合格すれば発行されます。中古住宅の場合は、適合証明技術者でも発行可能です。

この適合証明書の発行には費用がかかりますが、一般的には現場調査と証明書の発行手数料を合計して10万円以下です(検査機関や適合証明技術者によって料金が異なります)。

耐震基準適合証明書

築25年を超える耐火建築物(鉄筋コンクリート造や鉄骨造)または築20年を超える非耐火建築物(木造や軽量鉄骨造)を購入するとき、それが新耐震基準に適合するものであれば、税金の軽減(住宅ローン控除)を受けられる場合があります。

新耐震基準に適合した建物であるかどうか証明する書類が、耐震基準適合証明書です。これは、耐震診断を行った上で基準に適合した場合にのみ発行されるものですから、不適合ならば発行されません。つまり、住宅ローン控除を受けられないこともあります。

本来は、売主が証明書をとることになっていますが、実際には買主が費用負担しているのが現状で、その費用は耐震診断と適合証明書の発行料を合計して10万円前後であることが多いです。

住宅瑕疵担保責任保険の検査料・保険料

新築住宅の多くは住宅瑕疵担保責任保険に加入していますが、加入するためには現場検査を行う必要があるため、検査料と保険料が必要です。

この費用は、建売住宅の場合は売買価格に含まれているため、別途請求されることはありません。注文建築の場合は最初に見積りのなかで知らされることがほとんどです。

また、中古住宅でも任意で住宅瑕疵担保責任保険に加入することができますが、これにも検査料と保険料(制度上は保証料と言う)が必要です。但し、中古住宅は検査で不合格となる物件も多いため、加入できないこともあります。

物件の条件や保険期間・保険金の設定によって費用は大きく異なりますが、70,000円程度~です。

第三者検査の検査費用(ホームインスペクション料)

最近では、中立的な第三者の専門家によるホームインスペクション(住宅診断・建物調査)を利用して住宅購入の参考にしたり、安全を確保するケースが増えています。利用するかどうかは、住宅購入者の任意です。

この費用は、買主が負担するケースと不動産会社が負担するケースがあります。不動産会社が負担するケースは、検査機関にとっては不動産会社がお客様となっている為、中立性の点で疑問を感じる買主もいます。

買主負担の場合は、内容・面積などの諸条件によりますが、5万円(1度の検査)~70万円(着工から完成までの検査)程度の費用が必要となります。

その他

住宅購入には、様々な費用がかかるものですが、ここまでに記載したもの以外にも以下のものが必要となります。

  • 住民票・印鑑証明書などの費用
  • 引越し費用

注意すべき費用としては、以下のものが挙げられます。

  • 住宅ローン代行手数料
  • 地盤調査費用
  • 図面の変更にかかる費用
  • 外構費用

地盤調査費用の一例としては、建売住宅で地盤調査・設計・建築工事を終え完成した物件の売買であるにもかかわらず、売買代金以外に地盤調査費用を買主に求めてきたケースがありました。

図面の変更にかかる費用は、間取りなどのプランの変更を希望した場合に設計料や確認申請の費用を請求されることがあります。この費用自体は取引内容にもよりますが、止むを得ない場合も多いです。要望する変更等が設計料などの追加を伴うものであるかどうか、事前にしっかり確認しておきましょう。

そして、後から請求されて揉めることの多い費用としては、外構費用があります。よく、売買代金に含まれていないことがありますので、契約前によく確認しておきましょう。