住宅購入の諸費用(団体信用生命保険・火災保険・地震保険・家財保険・登記費用)
住宅購入に必要な諸費用に関する項目ごとの解説(必要な理由・凡その金額など)の続きです。仲介手数料・印紙税・住宅ローン保証料・事務手数料については、「住宅購入の諸費用(仲介手数料・印紙税・住宅ローン保証料・事務手数料)」をご覧ください。
今回は、団体信用生命保険・火災保険・地震保険・家財保険・登記費用を取り上げています。
団体信用生命保険
団体信用生命保険は、略して団信(だんしん)と呼ばれることが多いですね。住宅購入者のうちの多くの方が加入されている生命保険です。住宅購入の際には、多くの方が住宅ローンを借入しますが、その住宅ローンの借入条件の1つとして、この団体信用生命保険に加入することというものがあります。
但し、この保険料は多くの場合において金融機関が負担することになっているので、保険の加入者には支払っている意識があまりないかもしれません。
団体信用生命保険は、住宅ローンの借入人(債務者)に万一のことがあった場合(死亡や高度障害状態になったとき)に、住宅ローンの残債を全て保険で肩代わりしてもらうものです。遺族にとっては、住宅ローン残高の無い住宅が確保されるという点で非常に意義のある保険だと言えます。
この保険に加入することで、ご家族の保障内容が変わってくることになりますので、生命保険の見直しをする機会にもなっています。最近の団信は、がんや生活習慣病を対象としたものを選択できることもありますから、保険については総合的な視点で考えておくべきですね。
火災保険
住宅を購入すれば、ほとんどの方が火災保険に加入されますね。火事で家を失ったり、大きな損傷を被ったりしたときのためにも大事な損害保険です。住宅購入者にとっては大事な意味を持つのが、火災保険です。
万一のことがあったときに、火災保険に加入していない住宅購入者であった場合のことを考えてみましょう。マイホームを失ったにもかかわらず、住宅ローンも返済していかないといけないとなると大変ですね。新しい住まいの家賃負担と住宅ローンの返済を同時に行うことは一般家庭においては現実的ではありません。
一方で、住宅ローンの貸し手である金融機関にとっても重要な意味を持ちます。
上記のような状況では、住宅購入者も住宅ローンの返済が困難になってしまい、金融機関としては融資金額の回収に悪影響が出てくる可能性が高くなります。
こういった双方のリスクを防ぐ意味で、火災保険が重要な役割を担うわけです。
以前は、銀行から火災保険への加入を義務付けられ、質権を設定されるようになっていました。質権を設定することによって、万一のときに、火災保険による保険金が金融機関へ支払われるのです。金融機関にとっては大事な担保というわけですね。
しかし、最近では義務ではないケースが増えております。火災保険への加入が任意になっているのですね。ただ、万一のときのことを考えますと、やはり火災保険には加入しておく方が良いでしょう。
ここで注意して欲しいことがあります。火災保険に加入しておくことによって、万一のときに住宅ローンの返済をすることができるのは良いのですが、その後に新たに家を建てるには資金が必要になりますね。もちろん、一時的にどこかに引っ越す必要も出てくるでしょう。場合によっては、賃貸での生活へ変更されるかもしれません。
いずれにしても新たに大きな支出を伴うことは間違いありません。しかし、火災保険の保険料を少しでも安く抑えたいと考える方も多いですね。
安く抑えたいとの考えや十分な知識のないままの判断などから、住宅ローンの借入額にあわせて火災保険に加入される方が多いです。これでは、住宅ローンの返済に充てるだけで終わってしまいます。火災保険で保険金の設定をどうするべきか慎重に検討した方がよいでしょう。
地震保険
阪神大震災の後によく取り上げられていましたが、地震を原因とする火災には火災保険では保険の対象とならないということが大事なポイントです。地震に備える為には、火災保険だけではなく、地震保険にも加入しておく必要があります。以前は関心の低かった地震保険も最近では加入者がかなり増えているようです。
地震保険のポイントは以下の通りです。
- 地震保険は、そのエリアや建物の構造によって保険料が異なる
- 居住用の建物と家財が対象となる
- 火災保険への加入が前提となる(火災保険とセットで加入する)
- 地震保険で加入できる保険金は火災保険の保険金の50%まで
- 地震保険料控除制度があり、所得から地震保険料が最高で50,000円、控除される
家財保険
住宅を購入すると、多くの方が火災保険に加入されます。しかし、家財保険にまで加入される方はそう多くはありません。また、地震保険ほどに認知もされていないように思われます。
火災保険に加入していたとしても、火災などで家具や衣服などに損害を被っても補償されません。しかし、家具も全てを揃えるとなると相当な資金が必要となりますね。再調達するための負担は大きいです。
建物そのものへの保険だけではなく、そのなかのものへの保険も大事なのではないでしょうか。住宅購入時には、火災保険や地震保険と一緒に家財保険も一緒に検討してみてください。
登記費用
登記費用は、マイホームを購入すれば、必ず支出する費用の1つです。
マイホームを買えば、所有権を登記したり、抵当権の設定登記をしたりします。所有権に関する登記でも、土地や中古住宅の場合は所有権移転登記をしますし、新築住宅の場合は所有権保存登記をします。新築でも移転登記の場合もあります。
所有権の保存登記とは、初めて所有権者が登記されることなので、新築の場合に限られます。
そして、住宅ローンを借りる場合に必ず登記されるのが、抵当権です。一部の金融機関においては、住宅ローンで根抵当権を設定することもあります。
そして、これらの登記をする際には、登録免許税という税金がかかります。これが登記費用の一部です。これ以外にも、司法書士の報酬も必要となります。
登録免許税と司法書士への報酬の合計額は、不動産の固定資産税評価額や住宅ローンの借入額によって大きく異なりますが、都市部の住宅であれば20万円程度~(マンションは15万円程度~)とイメージしておいてください。
次回は、「住宅購入の諸費用(住宅ローン代行手数料・固定資産税・適合証明書等)」を取り上げています。