新築マンション購入時の共用設備の注意点(豪華設備・駐車場・駐輪場)

新築マンションを購入する人を対象に、契約する前に知っておくべき注意点を解説しますが、この内容は中古マンションを購入するときにも役立つ内容になっています。今回、取り上げるのは、以下の項目です。

  1. 豪華な共用設備は管理面の問題になる
  2. 駐車場が借地なら要注意
  3. マンションの駐輪場を要チェック

いずれもマンションの共用部の設備に関することです。マンションを購入するときは、希望する住戸のことだけではなく、共用部のことも確認しなければなりませんが、今回はその共用部のなかでも設備について注意点を学んでおきましょう。

1.豪華な共用設備は管理面の問題になる

プール付きマンション

マンションを購入するときの要因には、それぞれに様々な要素があると思います。例えば、立地・価格・設備などについて総合的に検討して判断するものですが、なかには温泉付、プ-ル付など個性的な売り出し文句で魅力を打ち出しているマンションもあります。マンションに温泉ですよ、すごいですね。

数年前の真夏の少し前の頃に、兵庫県神戸市の山の手の中古マンションを調査に行ったときのことです。エントランスの内装も豪華、受付はホテルのロビ-を思わせるような雰囲気で、高級なマンションでした。ふと見ると、小さいながら屋内プールがあるのです。マンションの専有部分の調査を終えた後にプールのほうを見ていたら、誰1人として入っていないのです。

それもそのはず、管理人さん(フロントマネ-ジャ)に聞くと、夏の間の2週間程度のみ稼動するとのことです。

管理費が高くつくなどの理由により管理組合で決定したのでしょうが、プール付を購入の要素に取り入れた方にとっては「非常に残念で仕方がない」だろうと思われました。

マンション購入の前に、全体の設備システムにかかる経費を計算し管理費等に反映させるのは、当然ながら売主の責務なはずですが、その計画が机上のものでは、購入後大きく変更せざるをえません。その変更によるしわ寄せは何も知らない購入者へくるわけです。

新築販売時に、管理費などが高いマンションは売れにくいため、表面的に安く見せていることも考えられます。

購入後の管理費の問題などは、なかなか素人では判りにくい問題です。マンション購入では購入前に管理関係をチェックすることが重要だということを理解しておきましょう。

よく、「マンションは管理を買え!」などと言われていますよね?

新築マンションはまだ誰も住んでいないから管理が始まっていないと考え、管理面のチェックをしないことは多いですが、管理は何も共用部分の見た目(掃除がされているか?など)だけではないのです。管理規約や修繕計画書に書いてある内容こそが大事です。

2.駐車場が借地なら要注意

マンションの駐車場

今までに多くのマンションを見た経験から、中古マンションの取引(売買) をするときに出てくるような問題点が新築マンションを購入するときの判断をするのに重要だと感じています。だから、中古マンションの話を取り入れてみます。

先日、調査した中古マンションでこんなマンションがあったので、その事例を取り上げます。

中古住宅を購入するとき、既存不適格物件というものに出会うことがよくあります。これは、建築した時の法規制と現在のものが変わったことにより、現在の法規制に適合しない物件のことで、今から建替えようとしても新築当時と同じ建物が建てられません。

しかし、今回の事例はそのようなものではなくて、建てた時から少しおかしかったのです。

それでは、どんなものだったのでしょうか?

マンションの駐車場の台数が足りず、近隣で探して借りざるを得ないということがありますが、このマンションでは新築当時から隣接する土地を賃借して駐車場としていたのです。マンション購入者は、その賃借している土地にある駐車場を使っていたわけです。

マンションを新築した当時は、この土地が借地扱いであるため、その土地面積を基に計算された建物の規模で建築することができました(土地面積が大きいほど、建物の面積を大きくすることができます)。

しかし、マンションの分譲後は駐車場の土地所有者と購入者が借地契約を結ばなかったため、将来、建て替えするときには新築当時よりも土地面積が小さくなっており、建築可能な建物の大きさが小さくなります。

このことは、元の売主もわかっていたはずですが、新築販売時に売れさえすればよいという発想なのか、購入者の将来のこと(資産性など)を犠牲にしてしまっています。

購入検討しているマンションの駐車場が借地である場合には要注意です。車を所有していないからといって無関係だと思ってはいけないのです。

3.マンションの駐輪場を要チェック

マンションの駐輪場

ある日、マンションの調査へ行ったときのお話です。物件そのものには特に問題がなかったのですが、他に問題が・・・

この調査の時に、マンションの管理規約のチェックも行いました。マンショ ンは管理が大事ですね。中古マンションだったので、管理規約と一緒に管理組合の決算報告書のコピーまで入っておりました。これを見ますと、築浅(新築後2年)のマンションなのに修繕積立金が早くも上がっています。しかも、2年続けて。新築後2年しか経っていないのに、なぜ?

はじめにまとめて修繕積立金を20~30万円ぐらいは支払っているのに、この状況です。

「おかしいな~」と感じながら読んでいきました。すると、自転車置き場を増設するのにお金が必要なようです。さらに、その設計費用も必要なようです。しかも、来年上がるのに、再来年も上がる予定になっているのです。

これは、長期修繕計画の内容に問題があるという単純な話ではありません。新築時点で自転車置き場(駐輪場)が少なすぎるために起こっている問題です。

駐輪場の必要台数は、マンションの企画段階で売主が必ず把握しています。購入者のターゲット層から家族の人数がわかり、これと戸数との関係でそのマンションに居住する人数はある程度は計算できます。自転車の台数が簡単に予測できますね。

新築マンションを購入する人たちは、若い人が多いため、購入時点ではお子さんがいなかったり少なかったりで、必要な駐輪場はそれほど多くないことがあり、5年・10年経過してから台数不足が問題になることはよくあることです。

しかし、なぜ、新築後すぐにこんなことが起こったのでしょうか?

それは、はじめから売主が簡単に予測できたにも関わらず、あえて駐輪場のスペースを削っているからです。

では、なぜ、あえて駐輪場のスペースを削ったのでしょうか?

その理由は、駐輪場のスペースを他のスペースに割くことで住戸面積を増やして売上を上げるためということが考えられます。

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