中古住宅の売買契約の前に確認すべき注意点

前回のコラムは、建売住宅を購入する前に注意すべきポイントを紹介する記事「新築住宅(建売住宅)の売買契約の前に確認すべき注意点」でした。今回は、同じように購入する前に注意すべきポイントをご紹介するのですが、対象物件は中古住宅です。

新築の建売住宅でも中古住宅でも共通するポイントがいくつかありますが、中古住宅だからこその注意点もあります。売買契約後に後悔しないように、ここで契約前に確認すべきポイントを理解して対策しておきましょう。

取引条件(売買条件)の確認

確認すべきポイントを取引条件(売買条件)に関することと対象物件そのものに関する確認の2つにわけてご紹介します。まずは取引条件の確認ポイントからです。

瑕疵担保責任の有無と期間

新築の建売住宅であれば売主は買主に対して10年間の保証を義務付けられている部分と2年以上の瑕疵担保責任を負う部分とがあります。

しかし、中古住宅では10年間の保証というものはありません。それだけに中古住宅の売買契約においては、売主が瑕疵担保責任を負うかどうかを確認することが非常に大事なチェックポイントとなっています。

中古住宅の取引における瑕疵担保責任とは、売買の対象物に瑕疵があった際に売主が補修等の責任を負うものであり、一般的には、雨漏り・構造部分となる木部の腐食・給排水管の故障・シロアリ被害がその対象となっています。

買主がこれらの瑕疵があることを知らずに売買契約を締結して引渡しを受けた後に、売主の負担で補修等の対応をしてもらえるか、もしくは対応してもらえないかは買主にとって大きな問題です。必ず瑕疵担保責任の有無について確認しておきましょう。

また、売主が瑕疵担保責任を負う期間についても確認しなければなりません。引渡しから3カ月としていることが多いですが、契約によっては1カ月としていることもあります。責任を負わないとしているよりは1カ月でもついている方がよいのですが、期間が長い方が瑕疵に気づきやすいですから一般的に定められることの多い3カ月を要求したいところです。

売買契約前に住宅診断(ホームインスペクション)を利用していない場合は、この期間内に利用して瑕疵があれば、すぐに売主に補修等を求めるようにしてください。期間経過後では、結局、対応してもらうことができないからです。

引渡し時期

買主にも希望の入居時期があると思いますが、深く考えないでいると希望の時期までに入居できないという事態に直面する可能性があります。特に売主が居住中の中古住宅である場合、売主の退去時期との関係で引渡し時期が契約から1カ月以上も先になるということはよくあることです。

取引によっては、売買契約後に売主が新居の建築を始めるために引渡し時期が半年も先ということもあります。早い段階で引渡し時期がいつになるか確認するようにしましょう。

付帯設備と物件状況確認書

売買契約を締結する際には、付帯設備表と物件状況確認書という書面が交付されます。

付帯設備表には、売買契約の対象として含まれるもの(コンロ・カーテンレール等)が記載されているので、その内容をよく確認して買主が対象に含まれるものとして誤解していたものがないかチェックしてください。コンロが固定式ではない場合には、転居先へ売主が持って行ってしまうことがありますし、エアコンが売買対象に含まれると考えている買主もいます。

また、物件状況確認書には、売主がその住宅に関して把握している事実が記載されています。つまり、買主に対して告知する情報です。たとえば、雨漏りしているとかシロアリ被害があると言ったことが書かれていることもあります。

この書面に記載されていることを理解せずに契約したとしても、知っていたことになりますから、後から瑕疵担保責任等を追及することはできません。大事な書面ですからよく確認しましょう。できれば、住宅診断(ホームインスペクション)を利用して売主の告知内容と一致しているかもチェックした方が安心です。

諸費用の一覧を書面で確認

中古住宅においても新築住宅同様に諸費用の金額や項目について確認することは重要です。資金計画に影響することもありますし、なかには不動産会社が金額を誤魔化して不当に利益を得ようとしていることもあります。

必ず売買契約の前に諸費用の項目と金額を一覧にしてもらって書面で提示してもらい、不明な項目があれば、何のために支払う費用なのか質問しておきましょう。回答に対して不信感を頂けば、その項目をインターネット検索すれば多くの場合において事実関係がわかるでしょう。

設計図書(図面)の引き継ぎ

中古住宅を売買するとき、本来ならば仲介する不動産会社がきちんと確認して実行してもらいたいと思うことの1つに設計図書の引き継ぎがあります。設計図書とはその住宅を建てるときに作成された図面ですが、これを売主から買主へきちんと引き継がないことが非常に多いです。

設計図書があれば、購入後のメンテナンス、リフォームのときに役立ちますので、ぜひ引き継いでください。仲介業者に対して「間取り図以外に売主が図面を持っていないか?持っている図面は全て欲しい」とはっきり言ってください。

売主は探しもせずに「持っていないと思う」と回答することがありますから、不動産会社(仲介業者)から売主に対して「大事な書類で引き継ぐべきものだから、探してほしい」と伝えてもらえるよう依頼しましょう。

そして、どういった図面をもらえるのか契約前に確認しておきましょう。

対象物件に関すること

次に売買の対象となる物件そのものについて確認することをご紹介します。これは新築でも中古でも変わりません。

建物は住宅診断(ホームインスペクション)でチェック

新築住宅では、建築時の施工ミスがないかどうかをチェックする目的で住宅診断(ホームインスペクション)を行います。

そして中古住宅においては、新築時の施工ミスがないかどうかという点もそうですが、新築してから今現在に至るまでの劣化状況についてチェックする必要があります。

建物の状態が悪く、不具合が見つかった場合には補修費用を要することがあります。その症状によっては、買ってすぐに100万円を超えるような補修工事費用の負担を強いられることもあります。隠れて見えない部分もありますから、リスクを完全に排除することはできませんが、住宅診断(ホームインスペクション)の利用によってそのリスクを少しでも軽減しておくことは中古住宅購入に役立つことでしょう。

土地条件は重要事項説明書でチェック

土地の条件については、不動産会社から提示してもらえる重要事項説明書で確認しましょう。重要事項説明書は売買契約の前に不動産会社が役所等で調査した事項についてまとめた書類で、多くの不動産会社は略して「じゅうせつ」と呼んでいます。

書類には難解なことも書かれておりますが、不明な言葉はインターネット検索すればわかることが多いでしょう。

重要事項説明書は売買契約よりも前のできるだけ早いタイミングで提示してもらうよう依頼しましょう。

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