不動産業者選び

住宅を購入する上で大事なことの1つが、不動産業者選びです。しかし、はじめてのマイホーム購入において、どうやって業者を選ぶべきかわからないことも多いでしょう。

そこで、不動産業者選びに欠かせないポイントを紹介します。

宅建業者の法令違反(宅地建物取引士の設置義務と名義貸し)

不動産会社は、業務に従事する人の5人に1人の割合で、成年で且つその会社に専任で従事する宅地建物取引士(略称:宅建士、旧称は宅地建物取引主任者)をおかねばなりません。

これは不動産会社(正しくは宅地建物取引業者という)としての義務で、宅地建物取引業法によって定められています。法規で決められていることですから、これは最低限度のルールですね。

しかし、なかには、この最低限度のルールを守らず、名義貸しという不適正な行為で免許を受けている会社もあります。

また、この設置義務でいう宅地建物取引士は「専任」である必要があり、その「専任」とは勤務する事務所に常駐であって、かつ専ら宅地建物取引業に従事することを示しています。

残念ながら、この「専任」に該当しないのに専任と虚偽申請しているケースも見られます。

宅地建物取引士の名義貸しといい、専任の違反といい、本当に倫理観に欠ける行為ですね。

大きな金額を取り扱い、消費者の人生に大きな影響を与える不動産会社はしっかりと倫理観を持つべきだと思います。倫理観に欠ける不動産会社と取引を進めたいと思う方はほとんどいないでしょう。

契約の前には宅地建物取引士が重要事項について説明しなければなりません。これは専任でなくても説明できることですが、その担当者が別の支店などから来たとなると実はその支店(事務所)には専任の取引主任者がいないかもしれません。

倫理観に欠ける不動産会社がいることは間違いないですので、広告やインターネットの物件情報を見て問い合わせたとき、またはモデルハウスなどに行ったときに名義貸しや専任の違反をしていないか質問されるのも1つの方法です。

違反しながら平然と営業している会社を見て、そう思います。

そもそも不動産取引を仕事とするのですから、営業担当者や契約関係の担当者であるならば、5人に1人などという割合に関係なく、新人以外は宅地建物取引士であって欲しいものですね。特に売買業務に従事するとなりますとそう考えます。

ルール違反を平然としている不動産会社が、
「不動産業界では、これぐらいは普通ですから」
などど説明していることがあります。

そのような業者から家を買うのはやめましょう。

不動産業者選びのポイントは行政処分の確認

不動産会社(不動産業者)は、都道府県の知事や国土交通大臣の免許を得て営業活動をしています。もし、何らかの問題(名義貸しや重要事項説明の義務違反など)を起こした場合には、免許権者からの指導等の対象となることがあります。そして、その処分記録は誰もが簡単に閲覧することができますので、住宅購入時に活用しても良いでしょう。

具体的には、都道府県などの監督部署へ行けば、行政処分の記録を閲覧できます。営業マンの名刺やその不動産会社(不動産業者)のホームページに免許番号が記載されているはずですので、その免許番号をメモして行けば大丈夫です。また、今では、各都道府県等のホームページでも不動産会社(不動産業者)の行政処分履歴を確認できることが多いので、まずは確認してはいかがでしょうか。

但し、過去に問題を起こしていれば必ず、行政処分がくだされて記録が残るというわけではありません。消費者が窓口へ被害を訴えるなどして、行政処分の検討をお願いしてもまともに取り合わない担当者も少なくありません。つまり、問題ある行為をしていても処分されていない不動産会社(不動産業者)が数多くあるということです。

つまり、行政処分を調べてみて処分履歴があれば信用できない可能性を考えても良いですが、履歴がないから安心とはいえないということです。あくまで1つの参考情報としてチェックしてみると良いでしょう。

不動産業者選びの現実

住宅を探しを進めるなかで、不動産業者選びからはじめて、最終的に良いと判断したその業者から住宅を購入するというパターンはほとんどありません。

その理由は、住宅購入者にとって最も優先されるのは物件だからです。どんなに良いと思った業者であっても、良いと思った住宅の売主が別であれば、その別の売主から購入することになるでしょう。

不動産業者を先に決めて、それから物件探しをするのは、あまり現実的ではない部分もあるのです。

不動産仲介業者であれば、様々な物件を取り扱っているので、業者を決めてからでも多くの物件を探すことはできます。

しかしながら、新築住宅は仲介できない物件も多いですし、中古住宅でも不動産会社が売主であれば、取扱いできないこともあります。

では、不動産会社が売主ではない中古住宅であれば、全てを取り扱うことができるのかと言いますと、少し微妙なところがあります。

不動産業界では、物件の囲い込みをする良くない慣習が昔からあり、全ての物件情報を共有していません。

よって、住宅購入者としては、あまり業者選びを重視しすぎずに、まずは物件選びをして、気に入った物件があれば、その売主や不動産仲介業者に問題ないかを確認するというのが現実的な対応でしょう。

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