液状化現象とは地震の揺れ等によって砂が液体のようになる現象で、ゆるい砂地盤であったり、地下水位が高く水が飽和状態にあったり、標準貫入試験(地盤調査方法の1つ)のN値(地盤調査の結果を表した数値)が小さかったりすると生じる可能性があるものです。
東日本大震災の際にこの液状化現象とその被害が注目されたことで有名ですが、千葉県浦安市での被害が非常に大きいものでした。国交省が平成23年8月に出した「東北太平洋沖地震による関東地方の地盤液状化現象の実態解明(報告書)」には、「東北地方太平洋沖地震では、関東地方の広い範囲にわたり地盤の液状化現象が発生し、住宅、道路、河川堤防、港湾施設、ライフライン等に多大な被害が発生した」と記されております。
戸建て住宅の被害棟数は19000棟超とのデータもありますが、液状化現象の被害エリアは、浦安市のほかに千葉県と茨城県の県境付近を中心に茨城県の広いエリアで見られますが、埼玉県でも被害が出ています。つまり沿岸部に限らず内陸でも発生しうるということです。
液状化現象による被害としては、建物の傾きや浮きといったものがすぐに思い浮かぶかと思いますが、上下水道やガス、電気などのライフラインも被害を受けるため、地震時のこのような被害は後々まで生活に影響を与えるものです。
建物の被害については、一般の方は少し驚かれることもありますが、高層建築物(高層マンションなど)よりも戸建て住宅のような小規模な建築物の方が液状化現象の被害を受けやすいとも言えます。
高層マンションのような高層建築物は、地中において非常に大きく長い杭で支えられていることが多く、その土地が液状化しても建物本体は液状化そのものでは傾かないのですが(影響を受けにくいのですが)、地中で地盤の支持層までの杭がない小さな建物(戸建て住宅など)は建物本体が傾くような被害を受けやすいのです。
実際に東日本大震災の後に被害エリアを視察しましたが、建物や外構が肉眼で大きく傾いていることが確認できる住宅は非常に多かったです。
とはいえ、高層建築物でも建物本体が地面から浮いてしまったり、外構部分が大きな被害を受けたりするので被害がないというわけではありません。
それでは、自分が購入しようとしている住宅や土地について、液状化現象にあうリスクについてどのように調べればよいのでしょうか。液状化現象にあわないための対策、注意点について考えてみます。
そういった物件を買わないための対策としては、誰でも簡単にすぐに入手できる情報が役立ちます。それは液状化現象の危険度マップです。インターネットの検索エンジンで「液状化マップ+地名」などといったキーワードで検索すれば、液状化危険度マップ(名称は自治体によって異なる)が見つかりますので、その地域の危険度をある程度、把握することができます。
各自治体などがこのようなマップを作成しHPで公開しており、誰でも無料で閲覧できるので、閲覧してみてください。自治体では他にも役立ちマップを公開していることも多いので、住宅購入や建築を予定している自治体のHPは見ておくとよいでしょう。
国土交通省のハザードマップポータルサイトからも閲覧できます。
ちなみに液状化現象の可能性が高い地域で住宅を購入したり建築したりするのであれば、施工者と相談して地盤改良などの対策を取った方がよいでしょう。