住宅購入の流れ・注意点の基礎知識

住宅購入の売買契約と手付金


住宅購入の申し込みや住宅ローンの仮審査を終えた後は、いよいよ売買契約の締結です。今回は、売買契約の実施時期・タイミングについて解説し、さらにその契約時に支払う手付金についても解説します。

住宅購入の売買契約と手付金

売買契約を締結する前にここで契約に関する基礎知識を抑えておき、契約後(住宅購入後)の後悔を無くすようにしましょう。

売買契約の締結時期

売買契約を締結する日程は、買主から売主へ住宅購入の申し込みをする段階から調整をすることがあります。具体的には申込書に希望する契約日を記述することも多く、そのときから日程調整をするわけです。

住宅ローンの仮審査の結果が出るまでの期間を考慮したうえで、契約日を調整するのですが、ときには仮審査の結果が出てから日程調整を始めるケースもあります。

住宅購入者(買主)が取引を急ぐ必要がないのであれば、住宅購入の申し込み日から売買契約日までは1週間程度あけるとよいでしょう。契約日をいつにするかは法律等で規制されているわけではありませんし、不動産業者のペースや売主の都合だけで決める必要もありません。

売主、買主、不動産業者(仲介業者)の間で調整してください。

住宅購入申し込みと売買契約の相違点

住宅購入の申し込みと売買契約は全く異なる行為です。「住宅購入の申し込み(1)購入申し込みの注意点」でも書いているように、申し込みは買いたいという意思表示です。この際に支払う申込金はキャンセルすれば返金されます。

一方で、売買契約は売主と買主が合意した売買条件を明確にして取引することを決めるものであり、この際に支払う手付金は買主の都合でキャンセル(=解約)した場合には返金されません。

これは基本的なことですから、確実に理解しておきましょう。契約したら後戻りできない、もしくは後戻りするには金銭の負担が生じるということです。

住宅購入時の手付金

売買契約の基礎知識を身につけたら次は手付金のことを学んでおきましょう。手付金に関するトラブルは多く、注意が必要です。

手付金の金額

売買契約の際には、手付金を支払いますが、手付金の金額については特に決まりがあるわけではありません。売買代金の10%程度とすることが多いですが、金額について不動産業者の都合に合わせる必要はありません。例えば5%でも良いですし、それ以下でも構いません。

住宅購入に際して多くの自己資金を用意していない買主である場合、手付金をわずかな金額に設定することもあります。多くの売買契約の事例を見てきましたが、手付金を10万円程度としているケースもありました。

それぞれの事情などを考慮しつつ、売主、買主、不動産業者(仲介業者)の3者で相談して金額を決めるようにしましょう。

また、未完成物件の売買取引の場合であれば、手付金の金額は5%以下が一般的です。その場合には、残代金を支払う前に中間金を支払うケースもあります。

買主都合の解約や売主の倒産

買主の自己資金が多くない場合には、手付金を少額とすることがあると書きましたが、自己資金の多寡にかかわらず、あまり大きな金額にしないよう方がよいでしょう。

なぜならば、売買契約を締結して手付金を支払った後に、買主の転勤が決まったために購入を中止したいというケースもありうるからです。他にも契約後に状況が大きく変わったためにキャンセルしたいということは意外とあるものです。

また、新築住宅の売買契約をしたケースで、契約後に売主が倒産してしまうこともあります。そういう状況では売主から手付金を返金してもらうことが困難なこともありますから、用心しておきたいところです。

こういったリスク回避を考えれば、手付金はあまり大きな金額とはしたくないものです。

手付金の支払いは原則、契約当日に

手付金は原則、契約の当日に支払います。手付金の支払い時期は売買契約と同時が原則なのです。しかし、同時とすることが難しいこともあります。たとえば、新築マンションの販売を例に考えてみましょう。

新築マンションは戸数が多いこともあり、売買契約日に多くの買主が販売センターに来場して同日に実施することがあります。その際、全ての買主が手付金を現金で持参すればあまりに大きな金額となってしまい、非常に危険です。

そこで、売買契約日よりも前に買主が売主指定の口座へ手付金を振り込んでおくという対処方法がとられることが多いです。売主にとっても買主にとっても多くの現金の取り扱いはリスクがありますから、この事前振込は現実的な対処法だと言えます。

ただ、これには買主にとってのリスクもあります。それは、売主の倒産リスクです。

手付金を支払った後、売買契約を交わしていないタイミングで売主が倒産してしまうと、支払った手付金の返金が難しくなることが考えられます(契約書を締結していても難しいことがあるが、契約書がないと更に難しい)。

そこで、前もって手付金を振り込むとしても、できる限り契約日に近い日に振込処理するよう注意してください。

たとえば、土曜日に契約予定なのにその週の月曜日に支払うよう要求された場合などは断り、契約前日の金曜に入金するなどの対応をしましょう。

次回は、売買契約時の注意点について、お話ししていきます。

執筆者・荒井


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