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建売住宅の購入が心配なら基礎だけチェックすれば十分か?

建売住宅の購入が心配なら基礎だけチェックすれば十分か?

ホームインスペクション(住宅診断)をしていると、建売住宅の購入者から「建築途中のインスペクションでは基礎だけチェックしてもらえば十分ですか?」と質問されることがあります。主な構造部だけの検査を希望する人から何度も相談されたことのあるテーマです。

住宅のなかで最も大切なのは基礎だから、その基礎の工事が適切なら建物全体にも問題ないだろうと考える人がいるようです。また、そのような記事をインターネット等で見かけることもあります。

しかし、基礎をチェックすれば十分だとする考えは確実に間違っています。

先に結論を書きましたが、その理由を以降で説明しますので、これから建売住宅を購入する人は入居してから後悔することのないように、以降も参考にしてください。

建売住宅の大事な部位はどこか

建売住宅を購入するとき、どの部位が大事なものだと理解しておくべきなのでしょうか(建物の大事な部位ですから、建売であろうと注文建築であろうと関係なく同じなのですが、建売を購入する人を対象として書いています)。

基礎は非常に大事な部位

建売住宅を購入する人のうち、大多数が最も心配している部位は基礎です。新築住宅のホームインスペクション(住宅診断)や不具合の相談でも、基礎に関することが非常に多いです。

確かに基礎は住宅を支える部位ですから大事であることは間違いありません。基礎には、その上に載る土台や柱、梁、壁、屋根などの荷重がかかる部位であり、これらを支えなければなりません。

基礎以外も大事

基礎以外にも大事な部位がいくつもある

大事な部位は基礎だけではありません。基礎さえしっかりしておれば、建物が長持ちするのか(耐久性が高いのか)、地震に耐えられるのか(耐震性が高いのか)と言えばそうではないのです。

基礎の上に載る土台や大引き、柱や梁、壁、屋根などのそれぞれが建物の耐久性や耐震性に影響しています。もちろん、心配すべきことは耐久性や耐震性だけではなく、雨漏りや断熱性能、省エネ性能もありますから、防水工事(屋根や外壁やバルコニー等)や断熱工事なども非常に大事です。

そして、建物そのものではないですが、地盤も非常に大事です。地盤が弱いなら、適切な地盤改良・補強工事が必要です。

住宅の安全性、快適性といったことは、基礎だけではなく、あらゆる部位によって大きな影響を受けているわけですから、基礎以外にも大事な部位がいくつもあることを理解しておくべきです。

基礎だけチェックしても不充分

基礎だけではなく他の部位も大事であることが理解できたところで、買主としてどこをチェックすべきであるか考えてみましょう。

新築工事のなかでも初期に実施される基礎工事をチェックして問題なければ、同じ工務店(建築会社)が工事するのだから大丈夫だろうと考える人もいますが、これも間違いです。基礎だけチェックしても、基礎のことしかわからず、その他の工程については何も判断できないのですが、その理由を説明します。

工事監理が期待できない

着工から完成までの間、定められた工事監理者(多くの場合はその住宅の設計者がなっているが例外も少なくない)が現場と設計図書の照合や施工品質のチェックをしなければなりません。これは工事監理というもので、住宅の欠陥工事、施工ミスを防ぐ上で大事な業務です。

しかし、この工事監理は名ばかりで適切に運用されている住宅は少ないです。建売住宅の大多数において、工事監理は実質的に放棄されています。この問題は中小零細の工務店、不動産会社に限ったことではなく、大手企業でも同様です。

本来なら、工事監理で基礎はもちろん、様々な工程でチェックすべきことがされていないという現実があるのです。コストカット自体は悪いことではありませんが、必要な人件費カットのために犠牲になっている部分です。

現場監督は施工品質までチェックしていない

工事監理者とは別に現場監督がどの住宅の建築現場にもいます。建売住宅における現場監督は、工事の進捗管理・下請け業者の手配が主な役割になっており、施工ミスの有無をチェックする時間はほとんどありません。また、施工ミスのチェックについて十分に教育されている人はほとんどいないため、時間をとれてもその能力(知識・経験)がありません。

そもそも、施工品質のチェックは現場監督の業務ではないと考えている人もいるくらいです。

しかも、工事の進捗すら管理できていない現場監督も多く、基礎コンクリートの打設日時を間違えて把握していたとか、断熱材を知らない間に施工していたと平気で言う人もいました。

工事監理者も現場監督も施工品質のチェックという意味ではほとんど期待できず、建売住宅では注文建築よりも間違いなく、この傾向が強いです。強いというよりも、ほとんど全ての建売住宅がそうだと言っても過言ではありません。

つまり、たまたま基礎の工事品質がよくても、それは工事監理者や現場監督の仕事のおかげだということはあまりないわけです。

施工ミスの有無は職人次第

基礎と土台から上は職人が異なる

基礎のチェックをしたときに、その工事品質が良かった場合、その品質の良さの原因は基礎工事業者の仕事がよかったということです。

基礎配筋を行う業者やコンクリート打設を行う業者の仕事がよいというわけですが、これらの業者は下請け業者です。基礎工事を担当する下請け業者が良ければ、良い結果が生まれるわけですね。

しかし、基礎工事を担当する業者とそれ以降を担当する業者は全く別です。基礎工事の後は大工工事がメーンになりますが、そこから先はその業者の良し悪しが以降の品質に影響するのです。

基礎と土台から上は別の業者だということです。

また、電気配線や内装工事なども別業者です。住宅建築には様々な下請け業者が入っているため、それぞれの担当の仕事の質が求められるわけです。

複数の条件が重なり基礎チェックだけでは不十分

ここまでに挙げたように、工事監理や現場監督の問題や工程によって職人が異なるために、基礎だけチェックしても不充分なのです。

現場監督や工事監理がしっかりしていて、その業務内容が適切なものであるならば、下請けに多少の問題があっても是正工事をきちんとして進めていくことができるのですが、前述の通り現場監督や工事監理にはあまり期待できません。

基礎工事が劣悪でも基礎以外の工事品質が高いこともある

基礎だけをチェックしても不充分であることも理解できたと思いますが、逆に言えることがあります。

それは、基礎工事がひどいものであったとしても、その他の工事品質が非常に良いこともあるということです。

基礎については担当業者の工事がよくなかったものの、大工工事は別業者なので丁寧な仕事をしてくれることも多いということです。

建売住宅の建築工事に関して、売主や工務店(建築業者)が適切なチェック体制を築いていないことは残念なことですが、下請け業者がきちんとしておればよい家が建ちます。下請け次第ということは、建売住宅の購入は博打みたいな印象も拭えませんが、これが現場の現実です。

くれぐれも基礎だけチェックして安心せず、各工程・各部位について確認することを怠らないようにしましょう。

○専門家に依頼するなら

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