新築住宅の施工監理(建築中の検査)

新築住宅の建築(施工)中の施工監理の実態や住宅業界の問題点と第三者の住宅検査の必要性について、年間1,500件超の第三者検査を行っている実績・経験からお話します。

新築住宅の施工監理(建築中の監理)の必要性

新築住宅を建築するとき、多く施主はその施工の品質に注目しています。建物の安全性の確保といった最低限度のことはもちろんですが、建物の有する性能を十分に発揮するためにも、施工品質の検査は非常に重要です。

そして、もう1つ、その施工内容が予定していた建築プランと相違ないか検査することも非常に重要です。仕様書を含む設計図書と施工内容の照合を現場で行うことで、検査できます。

このように、施工品質を検査したり、設計図書と施工内容の照合をしたりすることを施工監理、または工事監理と呼びます。この施工監理は、新築住宅を建築する際には非常に重要な役割を担っており、この施工監理が適切に行われるかどうかで、その住宅の安全性、品質が大きく異なると言っても過言ではありません。

施工監理は、建築中に何度も何度も現場へ足を運び、品質検査や図面との照合を行います。これを行うものを、工事監理者と呼び、建築士が行います。

建築する際には、この工事監理者を定めることが義務化されており、建築確認申請書を見れば誰が工事監理者であるか確認することができます。

施工品質の検査などを行う工事監理者を設けることが義務化されているということは、全ての住宅が安全だと考えて良いのでしょうか?実は、ここに大きな落とし穴があり、住宅を新築する方も新築分譲住宅を購入する方も十分に注意しなければなりません。

建築中の住宅を検査する施工監理の問題点

住宅の建築を確かなものにするはずの施工監理の問題点の1つ目は、施工者(建設会社)と工事監理者が同じ会社であることが非常に多いという点です。建売住宅でいえば、工事監理者が売主の社員や関連会社の社員であったり、下請けの設計事務所であったりすることが問題になっています。

「新築住宅の施工監理(建築中の監理)の必要性」で書いているように、施工監理は建築中に工事監理者が検査しなければなりません。工事に不具合や図面との相違がないか検査するわけです。しかし、同じ会社や関連会社、もしくは下請けという弱い立場であれば、指摘すべき点をしっかり、適切に指摘できないという問題が生じます。

これでは、施工監理(建築中の監理)を適切に行うことを期待するのは難しいことも多いでしょう。これは、建築業界では以前から指摘されてきた問題ですが、いまだ解決できていません。

そしてもう1つの大きな問題点は、工事監理者が実質的に不在になっている現場が多いという事実です。工事監理者を定めることが義務化されているということは前にも書いた通りです。しかし、名ばかりの工事監理者が多く、ほとんど現場へ足を運んでいないという現実があります。いや、1度も工事監理者が現場へ出向かない住宅も多くあります。

これらの問題は、多くの建売住宅や大手ハウスメーカーによる注文住宅において数多く見られる問題です。大手ハウスメーカーは、別の形で検査を行う体制を持っていることも多く、建築の品質監理への意識はあります。しかし、中小・零細規模の不動産会社、ローコスト系の分譲会社などでは施工監理や品質管理をほとんど放棄していると言えるケースも多いです。

施工者や売主と施工監理が一体であることの問題点や工事監理者が実質的に不在となっていることの問題点を考えれば、適切な住宅の監理・検査が出来ていないケースは非常に多いと言えます。多くの現場で第三者検査・監理を行ってきた経験から断言して良いでしょう。

新築住宅の建築中の現場管理

施工監理・検査が行われていないことの問題点をあげましたが、では誰がその住宅の品質・施工の問題点をチェックしているのでしょうか。一部の建築会社では、その役割が現場監督に与えらえていることがあります。しかし、多くの現場においての現場監督の役割は「工程の管理」です。

つまり、工事の進捗具合をチェックし、予定通りに建築工事が進んでいるか、どの工事の手配をすればよいか、といったことを管理しているにすぎないのです。また、現場監督の多くは経験の浅い若い方が多く、建築中の住宅検査の技能を有している方は少数派です。ほとんどいないと言ってもよいでしょう。

また、1人の現場監督が抱える現場(担当する建築中の住宅)は数多く、1日に何箇所も管理へ行かなければなりません。現場監督の多くは大変忙しいのです。忙しくて時間がない上に、検査のスキルがないわけですから、住宅建築の品質を求めるのは無理があります。

ちなみに、これは現場監督が悪いわけではありません。会社の体制として、最小限の人数で多くの現場を管理するために、時間が足りないのであり、会社に教育システムがないから十分なスキルが身につかないのです。これは、会社や業界の問題点だと言えます。

結局、工事監理者にも現場監督にも建築中の適切な検査を求めるのが困難な状況にあり、その住宅の施工品質は現場の職人任せになっています。良い職人が、掘削工事から基礎工事、木工事、内装工事、設備工事と全てを担当してくれればよいですが、多くの業者が出入りする現場において、これを期待するのも難しい面があります。

つまり、誰も建築中の住宅検査(施工監理)を適切に行っていない住宅が多いというわけです。そこで、第三者による住宅検査が行われるようになってきたのです。

第三者の住宅検査(建築監理)の必要性

新築住宅の建築過程において、施工監理(建築中の住宅検査)が適切に行われていないことを書いてきました。多くの建売住宅(分譲住宅)では、このような現実があるのです。瑕疵保険や建築確認制度に基づく検査など、制度は整っているのですが、現場は制度の思惑通りにはなっておらず、いつになっても欠陥工事や施工ミスが無くならず、入居後に売主や施工会社と交渉・争いを行っている方も少なくありません。

大きな投資をして購入したものの、長い時間とコストをかけて交渉や争いをするのは誰もが望んでいません。こういったリスクを回避するため、この10年の間に普及してきたのが、本当の第三者による住宅検査です。住宅購入者や施主が自ら検査費用を負担して、第三者による住宅検査を行うのです。

建築中に、所定の回数の検査を行い、建築・施工の品質を確保しています。住宅業界の実情を考えれば、消費者側が依頼する第三者の住宅検査が建築監理に代わるものとして注目を浴びています。

第三者検査では、施工会社の担当者に検査で問題とされた指摘箇所を伝えて補修してもらいます。消費者にとっては、専門的でわからない建築トラブルを未然に防ぐことができるメリットが大きいです。実は、施工会社にとっても問題点を建築中に改善できることで、引渡し後のトラブルを抑制できるメリットがあります。

数千万円の投資、数千万円のローンを抱えてまで購入する住宅ですから、数十万円の投資(第三者検査の費用)をすることで安全・安心を得ようとする方が年々増えているのもうなづけます。この分野の先駆者であるアネストでは、毎年多くの第三者の住宅検査を行っており、今後もご利用者が増えていくと予想されています。

住宅会社や施工会社は、様々な品質管理をしていることをアピールされますが、それらはその会社と利害関係のある立場の検査や施工監理ばかりです。しかし、今は消費者が自らの手で検査することも考える時代だと言えるでしょう。

建築中の第三者の住宅検査の検査回数は何回がよいか

検査回数

分譲住宅(建売住宅)であっても建築前(着工前)や建築中の新築住宅を契約する方が非常に多くなっています。売主に多少のプラン変更に応じてもらえ、マイホームに自分たちの要望を反映させやすくなったことは歓迎すべきことだと言えます。

これと同時に、完成後の分譲住宅では隠れて見えなくなっていた箇所を建築中に目視確認できることも買主にとっては大きなメリットとなっています。安心・安全への意識が高まっているなかで、これは良いことだと考えられます。

建築中の住宅検査の重要性は「第三者の住宅検査(建築監理)の必要性」のなかでも記載した通りですが、一体、第三者の専門家には何回ぐらいの検査を依頼すればよいのでしょうか。当然ながら検査回数を増やすほど安心感も増しますし、実際にそれだけ細かなところまでチェックしてもらえることは有益なことです。しかし、その分、検査費用も高くなるわけですから検査を依頼する消費者としては迷うところです。

適切な住宅検査の回数や検査のタイミング・内容は、対象となる建物の構造・工法・工程などの諸条件によって異なるので一概には言えません。ここでは、1つのモデルをベースに適切な検査回数をご紹介します。

木造軸組工法(在来工法)2階建ての場合

木造軸組工法

日本で最も多い戸建て住宅が、木造住宅でありそのなかでも軸組工法(左図)が多いです。柱や梁、筋交いなどで主な構造部分を構成しており、今の新築住宅では多くの金物を使用してこれらを緊結しています。昔ながらの工法であることから、在来工法とも言われています。

第三者の住宅検査の実績が豊富な検査会社であるアネストの検査モデルでは、この構造・工法の場合として以下の検査を提案しています。

  • 地盤改良工事
  • 掘り方(遣り方)
  • 基礎配筋検査(底盤)
  • 基礎配筋検査(立上り)
  • 基礎コンクリート打設時の検査
  • 基礎コンクリートの仕上り・土台敷き
  • 構造躯体(柱・梁・筋交い・金物等)
  • 防水工事(外壁の防水シート等)
  • 断熱工事
  • 設備配管、電気配線、基礎断熱
  • 下地材等
  • 竣工検査(内覧会立会いと同等)
  • 補修後の確認検査

上記の全ての検査を実施する必要性は高くないことも多いですが、このうち特に重要なもの(本当は全て重要です)に絞ると以下の検査となります。

  • 地盤改良工事
  • 基礎配筋検査(底盤)
  • 基礎配筋検査(立上り)
  • 基礎コンクリート打設時の検査
  • 基礎コンクリートの仕上り・土台敷き
  • 構造躯体(柱・梁・筋交い・金物等)
  • 防水工事(外壁の防水シート等)
  • 断熱工事
  • 竣工検査(内覧会立会いと同等)

上記の通り9回の検査ですが、上記のうち「地盤改良工事」は地盤が良い敷地であればありませんので、8回の検査となります。人によって考え方の差もありますし、工程にもよるためこれをベースにアレンジしていくイメージでよいでしょう。

大手ハウスメーカーであれば、部材をユニット化して現地で組み立てる方式ですから、検査回数は6回ぐらいでも十分な場合があります。こういったことは、個別の住宅の特徴を考慮して決めていくべきことですから、検査をする方にあって図面や構造・工法を示したうえで検査回数やタイミングについて相談することがお奨めです。

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