「べた基礎と布基礎のどちらがよいか?」という疑問、悩みを持つ方は多いです。

住宅の基礎にもいくつか種類がありますが、最近では多くの場合、べた基礎が採用されています。べた基礎以外では布基礎が採用されている住宅もあります。住宅を新築する場合にべた基礎にするか布基礎にするかの選択は、ハウスメーカーや工務店からの説明だけで理解できずに判断しづらい方も少なくないようですので、これらの基礎の種類について説明します。

べた基礎とは?

べた基礎とは建物の真下部部分の全てを鉄筋コンクリートを用いた基礎で施工するものです。全体の鉄筋を配してコンクリートを打設しています。

べた基礎の配筋

上記がべた基礎の配筋をしたところの写真で、全面に鉄筋が組まれているのがわかります。

べた基礎のコンクリート打設後

そして上記がコンクリートを打設した後の状態です。

この後に説明する布基礎に比べると基礎面積が非常に大きく、建物の荷重を基礎全体で分散して受け止めることができると言えます。地盤へも荷重を分散させることができます。

べた基礎のメリットとしては、シロアリが地中から床下へ侵入することを防ぐことができることや地面からあがってくる湿気を防ぐことができることが挙げられます。コンクリートがあるためにこれらを防ぐことができるのです。

このべた基礎はほとんどの木造住宅で採用されており、もっともポピュラーなものだと言えます。

ベタ基礎の施工方法

べた基礎の底盤は、直径10mm以上(D10)の鉄筋を300mm以下(@300)のピッチ(間隔)で縦方向も横方向にも配筋します(下図を参照)。

基礎の立上り部分の巾は120mm以上とし、底盤の厚さは150mm以上、立上りの高さは400mm以上、根入れ深さは120mm以上としなければなりません。プランなどによっては、設計者の判断で直径13mm(D13)の鉄筋が使われることも多いです。

べた基礎の図

布基礎とは?

次に布基礎の説明です。布基礎とは、べた基礎と違って全体を基礎コンクリートで覆うものとは異なり、部分的なものです。下の写真のようにT字を逆さにした形状をしています。

布基礎の図

布基礎は、荷重が部分的に集中する建物である場合には向いていることがあり、大手ハウスメーカーで採用されていることが多いです。軽量鉄骨造のプレハブ住宅では、この布基礎が多いです。

べた基礎も布基礎もどちらにしても地盤が軟弱であるならば、柱状改良や鋼管杭などの工事が必要となってきますので、設計者とよく相談してください。べた基礎だから地盤補強工事は必要ないなどと説明された方のお話を伺うことがありますが、そのように単純に判断できることではありません。

布基礎の施工方法

布基礎の底盤部分は両端部では、直径10mm以上(D10)以上の鉄筋とし、補強筋では直径10mm以上(D10)の鉄筋を300mm以下(@300)のピッチ(間隔)としなければなりません。

基礎の立上りの主筋は直径13mm(D13)以上で、補強筋は直径10mm以上(D10)の鉄筋を300mm以下(@300)のピッチ(間隔)とします。基礎の立上り部分の巾は120mm以上とし、底盤の厚さは150mm以上、立上りの高さは400mm以上であり、べた基礎と同じです。しかし根入れ深さは240mm以上としなければなりません。

基礎の底盤の巾については下の表を参照してください。

基礎の底盤の巾

上記の「地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度」は地盤改良工事をする場合に、その改良工事を実施した上での数値でみます。布基礎を建築主が希望しても上記の数値に満たない場合にはできないことがあります。

「べた基礎と布基礎のどちらがよいか?」と悩まれることがよくあるようで、べた基礎が布基礎より優れていると思われている方もいますが、常に優れているというわけではないため、個別の住宅ごとに考えた方がよいでしょう。地盤調査結果や地盤改良工事の内容、建物の工法・プランなどもあわせて総合的な判断が求められます。

基礎の良し悪しは工法だけの問題ではなく、現場で丁寧に適切に施工されているかどうかが重要です。「基礎工事:基礎配筋の注意点とチェックポイント(1)鉄筋の径・ピッチ」や「基礎工事:基礎配筋の注意点とチェックポイント(2)定着長さと継手」もあわせて読んでおいた方がよいでしょう。

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