
長く続いたデフレや給与所得の低迷などの影響もあって、低価格な建売住宅(分譲住宅)の供給・販売が2000年前後から急速に伸びてきました。全国で大変多くの方が、この低価格の建売住宅を購入するようになっています。
低価格は建売購入の魅力
建物のみの価格でみれば、建物延床面積が30坪の場合で1,000万円前後から1,300万円程度のものが多いです。土地代金も含めて総額では、首都圏であっても2,000万円台や3,000万円台で購入できるという低価格が何よりの魅力となっています。
パワービルダー
このような低価格の建売住宅を分譲する会社のことをパワービルダーと呼ぶようになりました。代表的なパワービルダーとしては、アーネスト・ワン、飯田産業、東栄住宅、一建設、アイディーホーム、タクトホーム、ホーク・ワンなどがあげられ、これらの企業はハイペースで市場シェアを伸ばしてきました。
もちろん、他にもたくさんのパワービルダーと呼ばれる分譲業者があり、他の不動産会社にとって脅威となっていると言えます。タマホームという会社も低価格な住宅を供給する会社として有名ですが、こちらは建売住宅ではなく注文住宅をメーンとして事業展開しています。
メリットは安いこと
価格面のメリットが大きく、マイホームを購入しやすくなった点は消費者にとってメリットです。以前であれば新築を購入するのが難しかった方でも購入できるようになったという面もあり、業界での注目度は非常に高いです。
デメリットは施工品質の低さ
しかし、一方でパワービルダー(建売分譲業者)が供給した建売住宅の施工品質面において問題視されることも少なくありません。施工ミスや不具合があり、購入後にその対応(売主との折衝など)に時間と労力を費やし、疲れてしまう方も多く見られます。
対策としてのホームインスペクション(住宅診断)
そこで、パワービルダー(建売分譲業者)の物件を購入する方が第三者の住宅診断(ホームインスペクション)を利用するということが広く普及しています。
売買契約を結ぶ前に、住宅診断(ホームインスペクション)しておくことで、施工品質などをチェックし、問題があれば補修してもらうよう交渉してから購入するわけです。
売買契約を結んでから、引渡し前に住宅診断(ホームインスペクション)を利用するという方も多いです。いずれにしても、どこかのタイミングで第三者の専門家の知識や経験、技術を活用するということです。
パワービルダー(建売分譲業者)の住宅は安いから仕方がないと諦める必要はありません。品質面においてもしっかりチェックしてから購入したり、引渡しを受けたりすることが賢い建売住宅の買い方です。売主や不動産仲介業者から、「安い住宅はこんなものですよ」などと言われても、それは間違いですから第三者に相談してみるとよいでしょう。
ちなみに、施工品質がよくないのはパワービルダー(建売分譲業者)だけに見られる問題点だと誤解されている方もおりますが、現実はそうではありません。全国の建売住宅において見られる問題であり、「パワービルダーのみ=低品質」だと決めつけてしまうのは間違いでしょう。