施主検査や竣工検査とも呼ばれる内覧会ですが、その開催時期によって買主や施主のリスクに差があることをご存知でしょうか。
住宅の新築工事には、適切な工期があります。個々の住宅によって工法・人員等が異なるので、一概には言えませんが、一戸建てなら2~1年程度の工期です(短いものなら1.5ヶ月!)。マンションならば、1.5~2.5年程度のものが多いです。
いずれにしても、その住宅の新築工事に際して計画された工期があり、それに基づいて工事を進めていくものです。
しかし、工期が遅延することがよくあります。工期が大きく遅延したときに、完成日に向けて無理に工事を急ピッチで進めて(突貫工事をして)しまったときに、欠陥工事が行われて施工不良となってしまうことがあるので、注意しなければなりません。
突貫工事 → 施工不良の可能性がUP
となっているわけですので、突貫工事にならないようにしてほしいものです。
買主(又は施主)にしてみれば、無理に急いだ工事をしてまで完成日や引渡し日を守ってもらうよりも、引越しを急ぐ必要がなければ完成を遅らせてもらった方が安心です。ですから、買主(又は施主)は引越し日には余裕をもったスケジュールとしておく方が良いでしょう。
ただ、買主(又は施主)が急いでいなくても、売主(又は施工会社、ハウスメーカーなど)が一方的に急いでいるケースが本当に多く、これが多くの施工不良を生み出す要因となっています。今までに、多くの竣工検査・施主検査に同行(内覧会立会い・同行サービス)してきましたが、売主側の都合で急ぐ工事ほど心配なものはないのではないでしょうか。
「内覧会が来週末ですが、まだユニットバスもついていません」
「3日後が内覧会なのに、内装が終わっていません」
「内覧会の翌日が引渡し日です」
などと、内覧会立会い・同行サービスのお客様に伺っていて、現地へ検査に行った場合にはひどい工事である確率が通常の現場よりも明らかに高いです。
買主(又は施主)にとって、急いでもらわなくても良いにも関わらず、売主都合で急いでいる理由の1つは、「早く引き渡して代金を回収したい」ということです。ほかには、「早く引き渡して、売上に計上したい」ということもあります。
そして、こういった問題が頻発する時期があり、それが、3月・6月・9月・12月です。つまり、決算時期であるために無理に引き渡してしまいたいという身勝手な考えが横行しやすい時期なわけです。
このなかでも、特にひどいのが3月の引渡しです。マンションであれば2月中旬以降の内覧会、一戸建てであれば2月下旬か3月の内覧会の開催が危険です。ただ、この時期に実施される内覧会のすべてがひどいわけではありません。予定通りの工期、工事ペースで順調に進んでいることも多いわけですので。
ただ、工期がきつくて無理しているかどうかは、一般の方には気づきにくいので、この時期の内覧会は注意した方が良いでしょう。
3月の内覧会・引渡しについで問題が多いのは、12月です。あとの6月・9月も決算(中間決算、四半期決算を含む)時期の会社が多いのですが、12月や3月にトラブルが生じやすいのは、買主(又は施主)側の都合にも理由があることが多いです。
買主(又は施主)は、よく「年内に引っ越して新年を新居で迎えたい」「新年度は新しい家でスタートしたい」と考えるからです。これは、気持ちの問題だけではなく、お子さんの転校の問題なども生じることも影響しています。
急いで引き渡したい売主(施工会社等)と早く新居に移りたい買主(又は施主)、、、
この両者の都合が、12月と3月に問題をより多く引き起こしてしまうのです。
この時期以外でもそうなのですが、やはり内覧会で買主(又は施主)がしっかり検査をして、施工不良を補修してもらってから引渡しを受ける必要性が高いと言えます。