賃貸しやすいマンション

中古マンションを購入するときに、将来、ライフスタイルの変化や転勤などがあったときのことを考えて、賃貸しやすい物件がよいと考える人は多いです。では、賃貸しやすいマンションがどういったものか考えられるように解説します。

立地

未婚のシングルの方やお子さんがいないディンクスの方がマンションを購入することも、今では当たり前のようになってきているようです。

シングルやディンクスの方がマンションを購入するときは、将来、結婚や出産などで家族が増えたときには売却したり、賃貸したりすることを想定していることが多いです。これは、当然の考えでしょう。

売却するとなりますと、住宅ローンの残債(借入残高)がネックになって(売却価格の方が低くて自己資金の持ち出しが必要になって)しまうので、賃貸するという方も多いようです。また、安定的な収入にしようと考えて賃貸を考える方も多いようです。

つまり、マンション購入時に賃貸しやすいかどうかを検討して、購入判断する必要が出てくるのですね。では、賃貸しやすいマンションとはどういった条件のものでしょうか?

マンションを賃貸する(貸す)ための最大のポイントは、やはり立地です。都市または都心からのアクセスが便利な場所であること、最寄駅から近い場所であることが重要です。つまり、多くの方(借りる方)にとって都合の良い立地です。

逆に、将来の賃貸や売却のことを考慮しないならば、購入者の都合のみで購入判断できるので、立地の考え方も自己都合で大丈夫ですね。

たとえば、「最寄駅から遠くて公共交通機関の便は悪いものの、自分たちは自動車を中心とした生活をしているため、駅との距離は気にしない。むしろ、不便な分だけ価格の安い地域でマンションを購入する」のも1つの考え方です。ただ、こういった方にとっては賃貸しやすいマンションの購入は困難でしょう。

既に、多くの空家が問題となりつつありますが、これからはより顕著になってきます。古いマンションほど、貸したくても借り手がいない状況になってきますので、「古い」こと以外のマイナス条件はあまり作りたくありません。特に、不利な立地は影響が大きいでしょう。

賃貸しやすいか、今の生活を最優先するか、どちらをとるかではありますが、シングル・ディンクスの方にとっては賃貸しやすいことは重要なことだと考えておくとよいでしょう。

間取りの変更が容易

前述した立地以外に、賃貸しやすいマンションの条件について考えてみましょう。

この読者の皆さんが今までに賃貸マンションを探された経験のなかで、

「2DKか、、、この間取りはちょっとな、、、」

と思われたこともあるのではないでしょうか。考えるまでもなく、この間取りを無意識に除外している方も多いと思います。ここでお伝えしたいのは、2DKという間取りが不人気だからやめておきましょう、ということではありません。

この2DKは、この間取りが大量に供給された時代においてはむしろ多くの庶民にとって理想とされたものでした。しかし、今の時代では敬遠されがちなのです。つまり、時代によって求められる間取りは変わるということです。

最近では同じ40~60平米ぐらいの広さのマンションであっても、1LDKのように1つ1つの部屋を広めにとることが多いです。まさに、シングルやディンクス世帯をターゲットにしたものです。これからは、単身世帯がさらに増えると言われておりますが、居住する人の構成(同居人の構成)がどのように変化していくのかは、断定できない部分もあります。

求められる間取りは、時代だけではなく、そのマンションの地域性(単身者が多い・ファミリー層が多い・高齢者が多いetc)も大きく関係しますが、時代の変化や地域性などに応じて、間取りを変更しやすいマンションであれば、時代遅れの間取り、、、などというレッテルを避けることもできますね。

また、将来の賃貸を想定していたものの、賃貸せずに家族構成の変化に応じて間取り変更して住み続ける方もこれからは増えることでしょう。給与が増えない、子供が出来て奥様が働くのを辞めた(又は収入が減った)などを理由に新しい住宅の購入が難しくなることも想定されるからです。そのようなときにも、間取り変更でお子さんが出来たときの家族構成への変化に応じることも可能です。

では、間取り変更の容易なマンションとはどういうものか、という点を知らなくてはいけません。そのチェックポイントとなるのは、以下の点です。

  • 住戸の間口が広いこと
  • 床の工法が2重床であること(洗面室だけでなく部屋も)
  • もしくは水周り設備(キッチン・浴室・洗面・トイレ)が1ヶ所に集中していること

まず、住戸の間口ですが、よくある細長いカタチの住戸より間口の広い住戸の方が間取り変更するときのプランニングが容易です。細長い住戸はどうしてもプラン上、自由に部屋を配置しづらいのです。

次に、2重床です。間取り変更をする際には、キッチンやトイレなどの水回り設備を移動することで、大胆に間取りを変更することができます。しかし、水周り設備は配管(給水管・排水管)の配置がよく問題となり、あまり移動させられないことが多いです。

2重床であれば、配管を床下で様々に移動させやすくなるため、水周り設備の移動もしやすくなります。その結果、間取り変更しやすいのです。但し、同じ2重床であっても、床下の高さや部屋の広さなどの条件によっても間取り変更のしやすさは異なるので、できれば専門家にも診てもらって相談しておくと良いでしょう。

そして、水周り設備の位置が1ヶ所に集中しているかどうかのチェックです。2重床であって床下の高さも十分なものであれば、気にすることはありませんが、2重床ではないマンションも多いので、その場合には水周り設備の位置は大事です。

キッチンやトイレなどの水回り設備を移動させられない場合、これらが住戸内のいろいろな箇所にバラバラにあれば、移動できないものが点在することになり(少しオーバーな表現ですが)、リビングや寝室などの居室の位置や広さを実質的には変更できなくなります。

たとえば、リビングと寝室をくっつけて広いワンルームにしたくとも、その間にトイレと浴室があってこれを移動できないとなれば、、、

逆に1ヶ所に集中して水周り設備を配置しておれば、その他のスペースを変更しやすくなるのです。ただ、集中していてもその場所や住戸の形・広さによっては、充分でないこともあるので注意が必要です。

住戸の間口、2重床、水周り設備の位置関係は、それぞれが関係しあうことでもあるので、判断が難しいと思えば、大事なことなので専門家に相談してみると良いでしょう。

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