中古マンションのチェックポイント

中古マンションを購入するときに買主が知っておくべきこととして、共用部や専有部(住戸)のチェックのこと、管理面のこと、そしてマンションの資産価値のことを解説します。

中古マンション共用部分のチェック

マンションの共用部とは、エントランスや共用廊下・階段、管理人室などの施設はもちろん、駐車場や庭などの敷地内のスペースも共用部です。そして、壁・床・天井などの構造躯体も共用部ですし、実は各住戸の玄関ドア(内側を除く)やサッシもそうです。

これら共用部分の劣化状態等は、マンションの資産価値・維持管理コスト等を検討する上で非常に大事な要素となります。

中古マンションの外観に、タイルの浮き・はく離・クラック(ひび割れ)などがないか確認する必要があります。

では、なぜひび割れがあるといけないのでしょうか?

「少しくらいのひび割れくらい中古マンションなんだから当たり前じゃないの?」と思う方もいらっしゃることでしょう。

マンションの構造は鉄筋コンクリートが多いです。鉄をコンクリートで覆い鉄が酸化する事を防いでいます。中古マンションでひび割れやタイルが浮いていたりすると、空気や雨水が入りコンクリートの鉄を守る力が弱くなり、鉄にまで達したら錆びが進行して、建物事態が危険な状態になります。

タイルを打診棒で実際に叩いてみて音を聞き分ける事も可能ですが、素人には簡単な事ではないので、専門家にみてもらうしかありません。

中古マンションの場合は、今までに検査が定期的に入っているかを確認する事で管理の良し悪しもわかります。

また、中古マンションの場合は掲示板を見て、新しい情報が更新されているかなどを確認する事で、きちんと管理組合が機能しているかも確認出来ます。

専有部分のチェック

専有部分とは、実際に購入となった場合に居住する室内部分のことです。購入を考えている方は一番気になる部分ではないでしょうか。

実際に、キッチンや洗面所、浴室、トイレの水を流して、水の出が悪く無いか、水が排水されにくくないか、赤い色や変なにおいはないか、お湯はきちんと出るかなどをチェックする事で購入後に補修・リフォームすべき箇所を把握することが出来ます。

リフォームは、

  • 汚れた部分をきれいにするもの、
  • ドアなどの建具の不具合を修理するもの、
  • バリアフリー化の為、段差をなくしたり、手すりをつけたりするもの

のように比較的工事費用の高くない軽微なリフォームから、間取りを変更したり、古くなった設備を最新設備に取り替えたりするような大規模なリフォームがあります。

しかし、マンションは、建物全体で耐震性や耐久性を考えているので、専有部分だから何をしても大丈夫という事ではないのです!!

なかには、室内の間仕切り壁もコンクリートの耐力壁(構造上抜くことのできない壁)になっている場合があり、そのようなときには間取り変更が不可能な事も考えられます。

また、水回り部分の位置を移動する場合には、床下の配管の設備がどうなっているかによって出来る事が限られてきます。

では、中古マンションを購入する前に希望のリフォームが出来るかどうか、どうしたらわかるのでしょうか??通常は、中古マンションの管理人室に竣工図書(マンションの設計図や仕上げ表の事です。)が保管されています。

竣工図書と現状を把握する事で、マンションの遮音性能・断熱性能・居住性能・リフォームへの対応などがわかります。

専門家でないと見てもなかなか理解が出来ないものですので、マンションの専門家にみてもらう(中古マンション建物調査)と良いでしょう。

中古マンションを購入前に、希望のリフォームが出来るか、最低限どの部分をリフォームしたら良いかを知る事でリフォームの予算が決まり、その中古マンションを購入するかしないかの判断に繋がります。

中古マンション管理のチェック

長く住み続ける為には、長期にわたって維持出来る管理が重要です。マンションは共同住宅なので、管理については管理組合で話し合って進めていくものです。管理が良いと、身近な事だとエレベーターが安全に動いている、廊下の照明が切れていないなど、日々快適に暮らす事が出来ます。

中古マンションですから、現場を見に行けば簡単に確認が出来る部分です。管理状況次第では、マンションの劣化や資産価値の下落を招くことがあります。

管理規約

いわゆる、マンションの管理の仕方や暮らし方のルールブックになります。例えば、ペットの飼育や事務所使用についてなど一定のルールが定められていることがあります。具体的には、

  • ペットの飼育はOKだが、共有部分(マンションの廊下やエレベーターの中)では、ペットを抱いて移動しなければならない(共有部分が汚れない為)
  • 事務所使用を許可している

事務所使用を許可している場合、不特定多数の人が出入りする可能性があるので、防犯上の問題が生じます。

中古マンションの場合、住人が管理規約や使用細則を守って暮らしているかどうかも購入前に確認したいことです。

長期修繕計画

マンションを長持ちさせるためのメンテナンスや収支の計画です。この計画がないと、修繕の為の計画的な資金集めが出来ず、いきなり多額の一時金を徴収する事になるなど、予算不足で必要な修繕が出来ないという危険性が高くなります。

もちろん、長期修繕計画があればいいというものではなく、その内容が重要です。

中古マンションの場合、今まで行われた修繕についても確認する事が出来ますし、今後の修繕計画についても確認ができます。

中古マンションの資産価値

住宅購入の相談を受けておりますと、よく「中古マンションを購入するか悩んでいますが、中古マンションの資産価値はどうなりますか?」と聞かれます。抽象的なご質問なので、なかなか回答しづらいのですが、マンションの資産価値は主に以下の事項と関係してくることを理解しておいてください。

  • 立地
  • 建物の状態(劣化等)
  • 維持管理状態と長期の修繕計画

このうち、立地は利便性が大きいです。特に、これからの中古マンションの資産価値で厳しいと予想されるのは、郊外型マンションです。

「夫婦共働きが当たり前になって通勤の利便性が重視される」「高齢化した世帯も交通利便性を重視することが多い」といったことから、最寄駅から徒歩15分を超える郊外型マンションの資産価値は厳しい可能性が高まります。

もちろん、郊外型であっても「子育てに有利」「近くでそれなりの生活圏を築いている」などのPR材料次第では、資産価値を維持ある程度のレベルで維持できる可能性は十分にあります。

次に、建物の状態です。建物は当然のことながら、劣化していくものです。新築時と10年、20年、30年のマンションでは建物の状態に違いがあるのは当然です。しかし、どのマンションも同じ速度で劣化していくわけではありません。この点がポイントなのです。

今までに多くの中古マンションの建物調査をしてきましたが、個々のマンションによって驚くほどの差を感じることがあります。

「築15年なのに、どう見ても築30年程度のマンションにしか見えない、、、」

ということもあれば、逆に、

「築30年以上のマンションなのに、築20年未満のマンションと変わらない」

ということもあるのです。この差は大きいですし、もちろんこれは資産価値にも影響することです。

実際に中古マンションの購入を検討されている方からのご相談では、「築年数相当程度の建物の状態(劣化状態)のマンション」だと評価されれば、皆さん、安心されるようです。築年数よりもかなり状態の良いマンションに絞って探そうとしても、なかなか出会えるわけではありません。

そして、もう1つ資産価値に関して大事なのは、維持管理状態です。建物の維持管理のことですので、実は前述した建物の状態と同じ項目と言っても良いかもしれません。

しかしここであえて分けたのは、維持管理に大事な長期修繕計画を大事なポイントとして強調しておきたいからです。

マンションは、20年や30年の長期にわたる修繕計画を作成し、その計画をベースに維持修繕を積み重ねていくものです。ですから、この長期修繕計画そのものがひどいものであったり、その計画を適切に実行していなかったりすると、建物維持管理が適切に出来ないことになります。それは、つまり建物の状態も悪くなってしまうということですね。

中古マンションの資産価値を考えるならば、立地・建物の状態(劣化等)・維持管理状態と修繕計画の3点は、非常に大事なものだと考えておきましょう。中古マンションを購入する多くの方が資産価値を意識されると思いますので、皆さんにとって大事だと言えるでしょう。こういった重要な点は第三者に相談することも検討してみましょう。

ホームインスペクションのアネスト

ホームインスペクション
第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。