中古物件を買うときの駐車場のチェックポイント

駐車スペースのある中古一戸建て住宅を購入する方であれば、駐車場も購入前の大事なチェックポイントだと言えます。「保有する車と駐車スペースのサイズが合わずに車を買い替えた」「出し入れが面倒なので車を買い替えた」というお話を伺ったことは意外と多いものです。

駐車スペースは十分か

マンションと違って一戸建てなら、駐車場を借りなくてよいのは大きなメリットです。しかし、その駐車スペース(駐車場)が使いものにならないようであれば、意味がありません。中古一戸建てであれば、これから建築する新築と違って、実際に駐車できるか試すこともできますから、しっかりチェックしましょう。

駐車スペースで最も心配されるのは、保有する車が過度なストレスなく駐車できるかという点です。駐車場の広さが充分であるかどうかです。車のサイズを少し上回る程度のスペースであれば、実際に使用してみると非常に使いづらいということは多いです。

ドライバーの運転技術にもよりますので、ご夫婦で不得手な方に合わせて考える必要もありますし、また車を買い替えたいのであれば、買い替えも見越して検討しなければなりません。「今はコンパクトカーでいいけど、子供が生まれたらもう少し大きな車に乗り換えたい」ということも多いものです。

駐車スペースの確認方法は、中古住宅の場合では図面が無いことが多いため、実際にメジャーで計測する必要があります。奥行や巾を計測して、車のサイズと比較しましょう。このときに車のサイズは、ドアを開閉したときのサイズに注意しましょう。

駐車スペース周りもチェックしてください。例えば、エアコンの室外機を置く場所を想定したり、給湯器の位置を確認したり、さらには物置を設置したいならその位置と大きさも検討したりしなければなりません。

また、自転車やバイクを置くスペースも一緒に考えてみてください。駐車場の奥行が車の長さが何とか収まるという状況でありながら、奥に自転車を置きたいとなれば途端に厳しくなります。都会の狭小地では、こういった細かなことまで考えた上で駐車スペースに問題ないか確認する必要があるので注意しましょう。

中古住宅を購入する方のなかには、「これまでは賃貸マンションで車は外部で洗車していたけれど、これからは自宅でゆっくり洗車したい」と考えている方もいるでしょう。車好きな方にとっては大事なことかもしれません。

しかし、自宅の駐車スペースで洗車するのであれば、洗車に十分なスペースかどうかもチェックしてください。人がホース等を使用しながら車の周囲を移動できるのか、洗濯物を干す位置と干渉しないか、隣地の洗濯物がすぐ横になさそうかといったことを確認しておきましょう。

実際に車の出し入れをテストする

日々の車の出し入れのしやすさについては、売主の了解を得た上で実際に駐車と出庫を体験するとわかりやすいです。駐車時の乗り降りも試してみてください。

大丈夫だろうと思っていたけれど、実際に使用すると道路が狭くて車を何度も切り返さなくてはならないということもあります。道路の向かいのお宅が道路にはみ出して植栽を置いているのが邪魔になるということであれば、その物件を購入する前に向かいの方とその植栽の撤去について話を付けておいてもらったほうがよいこともあります。

試しに出し入れする際には、敷地前までの道路の進入路も一緒に確認できます。片側からだけではなく、逆側からの進入路も試しておきましょう。

道路と駐車スペースの段差

他にも問題となりうることは、道路と駐車スペースの段差です。段差が大きい場合、丁寧に駐車しなければなりませんが、車によっては段差でこすってしまうということもありえます。テストするときにも、慎重に、かつ他人にも周りを見てもらいながら注意深く確認しなければなりません。

また、スペースが狭い場合、隅切りがあるかどうかは重要となります。隅切りとは、駐車スペースと道路の境部分のスペースです(以下の図を参照)。

駐車場の隅切り

赤い丸の部分が左右の2軒で異なります。右側が隅切りのある駐車スペースです。この隅切りの有無で使い勝手が大きく異なることがあるので、注意して見ておきたいポイントです。但し、道路巾や駐車スペースの巾が十分であれば、この隅切りにこだわる必要がありません。前のページにも記載しておりますが、実際にテストすればよくわかります。

駐車スペースのその他のチェックポイント

他にもチェックポイントはあります。駐車スペースの床部分の仕上げはどのようになっているでしょうか。土間コンクリートやタイルで適切な勾配があれば雨水がたまらずに安心できますが、勾配が不十分であれば、または砂利や土のままであれば水はけが問題となっていることもあります。

この点は雨の日や雨上がりに現地に確認しに行くことでわかることも多いでしょう。

そして、屋根付きの駐車場であれば、屋根やその柱の劣化状態も目視確認しておきましょう。ひどく傷んでいて、そのまま使用するには危険な状態であれば早期に付け替えが必要になることもあり、予算に影響してきます。ひどい劣化等を放置していて、倒壊して隣地に迷惑をかけてしまっては損害賠償という可能性も出てきます。

他にも、今までに見てきた事例のなかでは、鳥の糞害という問題もありました。駐車場の屋根の上を2階の窓から見たら、驚くほどの鳥の糞がついていたということもあります。屋根が劣化したので撤去したら車に落とされるかもしれません。

車の盗難を心配する方も多いでしょう。防犯という点においては、塀や植栽の位置によっては駐車スペースが外部から見づらいこともあります。そのうえ室内からも見づらい位置となれば、防犯上の心配はさらに大きくなります。対策として、人感センサー付の照明を設置しておくことも有効ですので、対策と併せて考えてみましょう。

最後に、掘り込み式の車庫(ガレージ)についても考えてみましょう。掘り込み式の車庫とは、山を切り開いたような傾斜地の住宅によく見られるもので、コンクリート造になっています。前面道路からその住宅を見れば、半地下に車庫があり、そのうえに住宅がのっているようなイメージです。

掘り込み式の車庫

この掘り込み車庫であれば、コンクリートの劣化状態(ひび割れ等)にも注意すべきです。内部からよく観察するようにしましょう。そして、奥行きや巾だけではなく高さが十分であるかも要注意であるのは言うまでもありません。

掘り込み式車庫には、建物本体の基礎と一体型になっているものもあり、その場合には駐車場だけを造り直すことも難易度が高くなってしまいます。建物本体と一体であるか、そうでないかも把握したうえで購入判断したいものです。

ホームインスペクションのアネスト

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