売れ残りの建売住宅を買うメリットとデメリット

新築住宅の購入を考えている人が様々な建売住宅を見ていくなかで、完成後しばらく経過しても売れていない物件に出会うことがあります。たとえば、完成後2カ月や3カ月を経過している物件もあれば、半年以上も経過している物件もあります。

建売住宅は、ずっと以前は完成してから販売するものであったため、完成後2カ月程度で売れ残りというイメージでもありませんでしたが、今では着工前や建築中に販売開始することが多くなっていることもあり、完成後2~3カ月も経つと売れ残っている物件だと認識されることがあります。

半年以上も経過しておれば、誰も買わないような人気の無い物件などと消費者に考えられていることも少なくないでしょう。

どの時期をもって売れ残りと表現するかは置いておきまして、完成後しばらく経過した建売住宅を買う方にとってのメリットやデメリットについて考えてみます。ここでは、建売住宅に言える一般的なメリットやデメリットは除外して、「売れ残り」の建売に限定してあげています。

売れ残った建売住宅を買うメリット

  • 価格の値下げ交渉をしやすい
  • 完成後の建物の状態の経過を観察できる

売れ残った建売住宅を買うデメリット

  • 値下げ交渉に成功しても安く買えたとは限らない
  • 売れなかった理由が明確にわからず不安が残る
  • 売れ残り物件を買った人だと近隣に認識される

売れ残った建売住宅を買うメリット

まずメリットから見ていきましょう。

売れ残っているだけに売主に対して値下げ交渉をできることが多いです。完成後どれぐらいの期間を経過したのか、また他にも同じ分譲地で売れ残り物件があるのか、元々の販売計画がどうであったのかといった様々な要因が影響するため、必ず値下げしてもらえるというわけではありません。

しかし、値下げ交渉に有利であることは多く、なかには非常に大きな値下げを期待できることもあります。物件価格の10%以上の値下げという事例はいくつもあります。もちろん、値下げしてもらえれば資金計画にゆとりが出るといった追加のメリットも生まれます。

そして、もう1つあまり気づかれていないメリットがあります。それが「完成後の建物の状態の経過を観察できる」という点です。

新築住宅を買うとき、その建設工事の過程で手抜きや施工ミスなどの問題がなかったかどうかは重要な関心事です。購入前に住宅診断(ホームインスペクション)を利用して、問題の有無を調べてもらうことができますが、この診断をしてもらうことに関して完成直後と異なり完成後しばらく経過した物件ならではのメリットがあるのです。

もし新築時の工事に手抜きや施工ミスなどがあった場合、完成時点ではその問題が隠れていても、しばらくしてから症状が出てくることがあるのです。たとえば、地盤沈下が生じて建物が傾いてくるとか、基礎や壁にひび割れが生じてくるなどの症状です。

必ずしも、完成後しばらくしてからの住宅診断(ホームインスペクション)であれば、隠れた箇所の問題点も発見できるというわけではないですが、時間が経過した故のメリットとなることは確かです。せっかくですから、床下や屋根裏も含めてしっかり点検してから購入しましょう。

購入前の住宅診断

売れ残った建売住宅を買うデメリット

次に、売れ残った建売住宅を買うデメリットを見ていきましょう。

1つ目は「値下げ交渉に成功しても安く買えたとは限らない」という点です。値下げは買主にとって一見、お得な話のように思えます。しかし、本来ならば市場の相場よりも安く買えればお得ですが、相場より高い、もしくは相場ぐらいで買ったのであれば何もお得ではありません。

値下げする前の価格には、その地域・大きさ・仕様などの様々な条件の割に高かったから売れていないことも多く、その場合、値下げは単に相場価格への調整でしかありません。場合によっては、相場よりもまだ高いということもありうることです。

建売住宅を値下げしてもらって買ったことを得したと考えるのは間違いであることも多いので注意してください。

他のデメリットは心理的なものです。売れ残り物件を購入検討している方は、「なぜ売れ残ったのか」「何か買ってはいけない原因があるのではないか」「買うと損するのではないか」と不安を抱える方が少なくありません。

売れ残りの原因が明確であればよいのですが、原因がはっきりしないことが多いだけに不安が残ったまま購入することになるのがデメリットと言えます。

「売れ残り物件を買った人だと近隣に認識される」については、全然気にしない人もいるでしょうし、気にする人もいます。それは個々の考え方次第ですから、デメリットとならない方も多いでしょう。

ホームインスペクションのアネスト

ホームインスペクション
第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。