住宅診断の必要性

住宅を購入する時、新築するとき、そしてリフォームするときに、住宅診断(ホームインスペクション)を利用すべきかどうかについて、迷われる方も多いでしょう。その有効性はある程度イメージできるものの、本当に住宅診断(ホームインスペクション)を利用しなければいけないような建物があるのだろうかと考えている方もいるでしょう。

不動産会社や工務店に聞けば、「住宅診断(ホームインスペクション)なんて必要ないです」と言われるが、そもそも利害関係者の言うことだし、、、と悩むのも無理はありません。住宅診断(ホームインスペクション)の必要性は、行政庁の認定を受けた公益財団法人が公表するデータが大変参考になりますので、以下に説明します。

住宅の新築・購入やリフォームに際して、トラブルにあったとき等に相談できる機関として、「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」という組織があります。1984年に設立された組織がその後に改組されて今の組織があります。この「公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター」では、消費者利益の保護や住宅に関する紛争解決のための住宅相談や紛争処理の支援等を行っており、トラブルが生じたときには誰もが相談する可能性のあるところです。

このセンターが公表している住宅相談の資料(データ)から、住宅の購入や新築などに役立つ情報を解説してみます。

執筆時点では2014年のレポート(2013年度分)が公表されています。これによると、2013年度の新規相談件数(電話相談の件数)は24,216件もあります。このなかには相談するほどでもないものも含まれていると予想されますが、逆にこのセンターに相談していない方の方がはるかに多いとも予想されることから、住宅・不動産業界のトラブルの多さを物語っていると言えるでしょう。

この相談件数は前年度比18%増となっており、大幅に相談件数が増えています。この相談件数はほぼ一貫して増え続けており(10年前の2003年度の相談件数である9,182件に対して約2.6倍となっている)、数値を見る限りでは業界の抱える問題点は改善されるどころか悪化しつつあるとも言えます。

その相談内容は、「新築等住宅に関する相談」と「リフォームに関する相談」に分けられており、ともに相談件数は増加傾向にあります。これからリフォーム市場が伸びると言われているだけに、今後のリフォームに関する相談はさらに大きく増える可能性が高いでしょう。

ちなみに、前者の「新築等住宅に関する相談」のなかには、注文住宅の建築や新築分譲住宅(建売住宅)の購入のほか、中古住宅の売買も含まれております。

「新築等住宅に関する相談」の相談内容にもいろいろなものがありますが、最も多いものは、「住宅のトラブルに関する相談」であり、これは「住宅の不具合によるトラブル・契約に係るトラブル」などを指しています。他には、知見相談(技術・法令・制度に関すること)などがありますが、「住宅のトラブルに関する相談」が全体の74%(約3/4)を占めており、住宅の不具合や契約関連のトラブルの多さがよくわかります。

昔に比べて瑕疵保険制度や住宅性能評価制度などの各種制度が充実したため、新築住宅の不具合(欠陥工事など)に関するトラブル・相談が減っていると思われがちですし、多くのハウスメーカーや工務店、不動産会社がそのように説明していますが、実際には相談件数が増えていることに注目しなければなりません。

「○○○の検査を受けているから大丈夫です」といった不動産会社や工務店等の説明を安易に信用して失敗している人は数多いのです。買主や施主が「住宅診断(ホームインスペクション)を利用したい」と不動産会社等へ申し出したときには、上記のような不動産会社の説明を受けることが多いですが、いくら不動産会社等がこのような説明をしたとしても、実際にその瑕疵保険等の検査・制度を利用してもトラブルが多く生じており、むしろ相談が増えているという事実(データ)を知っておき、自分自身で冷静に判断しなければなりません。

トラブルが起こってから、「大丈夫」だと言った担当者へ話しても、「対応が悪い・遅い」、「補修してもらえない」といった問題を抱えている方からの相談は絶えません。結局は購入した本人が最も大きな悪影響を受けることですから、住宅診断(ホームインスペクション)を積極的に利用するべきでしょう。

次は、「瑕疵保険や性能評価の検査があっても住宅診断(ホームインスペクション)が必要」です。これも不動産業者やハウスメーカー、工務店の説明をそのまま鵜呑みにしてはいけないということがわかります。

ホームインスペクションのアネスト

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第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。