新築住宅の引渡し

新築住宅の引き渡しに関して、本当に注意して欲しい引き渡し時期・タイミングについて解説します。未完成物件の引渡しを受けることのリスクを知れば、完成後の残金決済と引き渡しの重要性がわかるでしょう。

未完成の新築住宅の引渡しを受けてはいけません

住宅の間取り、仕様などのプランを決めて工務店などに発注し、工事も完了して完成すれば、いよいよ引渡しですね。注文住宅に関わらず、建売住宅を購入した場合であっても、必ず「引渡し」が行われます。

まず、引渡しとは何でしょうか?

新築住宅の引渡しとは、工事が完了(完成)し、施工者(又は売主)や施主(又は住宅購入者)が、その住宅を完成品として認めたものを施工者(又は売主)から施主(又は住宅購入者)に受け渡すことを言います。

そして、通常はその引渡しの際に代金の決済、つまり施主(又は住宅購入者)から施工者(又は売主)へ残代金の支払いが行われます。

この引渡しに関連してトラブルとなることが多いので、施主(又は住宅購入者)としては、よく問題となることを理解しておき、トラブルなどにしっかり備えておきたいものですね。その引渡しに際してよくトラブルになることとして、住宅を引渡すタイミングがあります。

前述したように、工事が完了(完成)して、完成品として施工者(又は売主))や施主(又は住宅購入者)が、認めたものを引き渡すことがたいへん重要です。

しかし、年間1,500件以上もの住宅検査やコンサルティングをしている経験から、工事を完了していないのに、引渡しをしようとするケースに遭遇することが少なくありません。

このようなことが生じる原因としては以下のことが挙げられます。

  • 工事が遅延している
  • 施工者又は売主が引渡しを急いでいる
  • 施主又は住宅購入者が引越しを急いでいる
  • 上記3点の複合的な原因がある

このうち、施工者又は売主が引渡しを急ぐ理由としては、早期の売上計上というものがあります。たとえば、 「ある月の個人成績や会社の目標のために、○月末までに引渡しを済ませてしまい、売上に計上しなければならない」というようなことです。

これは本当に身勝手で一方的な都合ですね。

特に、決算期である9月や3月にこのように引渡しを急ぐことが多発していますので、注意が必要です。会社によっては(特に企業規模が大きい場合)、四半期ごとの決算があるので、6月や12月にもこのようなケースが増えています。

また、施主又は住宅購入者が急ぐ理由としては、現在の住まいの賃貸契約の解約時期や子供の転校時期(4月から新しい学校で・・・)というものがあります。

いずれも工事が遅延したことで当初の予定が狂ってしまい、施工者側や施主側の都合も重なって引き渡しを急いでいることが多いです。もちろん、施主(又は住宅購入者)のリスクを考慮すれば、引渡しを急ぐ必要はありません。

ところで、なぜ、完成していない住宅の引渡しを受けてはいけないのでしょうか?

それは、施主(又は住宅購入者)にとってのリスクとなるからですが、そのリスクについては以下で説明します。

未完成の新築住宅の引渡しを受けた場合のリスク

ここまでに、未完成の住宅の引渡しを受けてはいけないことをお伝え致しました。それでは、なぜ未完成の住宅の引渡しを受けてはいけないのでしょうか?今回はこのリスクについてお伝え致します。

まず、大きなリスクとしては、売主や施工会社の倒産が考えられます。

建物が完成する前に、売主や施工会社が倒産してしまうと、施主(又は住宅購入者)は大きな損失をしてしまう可能性が出てきます。いつ完成するかわからない、という不安だけでなく、既に代金を支払っていたとなりますと、返金されない可能性もあります。

実際には、多額の中間金を支払っていて、売主や施工会社が倒産し、損失を受けてしまう施主(又は住宅購入者)の例があります。倒産した会社の規模が大きいとニュースになることもありますが、小規模な会社の倒産ではニュースになることもないので、あまり知られていません。

しかし、このニュースになっていない倒産は多いです。多くの工務店や不動産会社が不景気の影響を受けているので、私には関係ない、とは言えないでしょう。

また、多くの取引で生じているリスクとしては、施工者(又は売主)の対応が引渡し後に悪くなってしまうケースです。引渡し後では、施工精度の悪い箇所の補修を求めても対応してくれなかったり、対応が遅かったり、、、

基本的には、引渡しと残代金の支払いは同時に行うことが一般的です。この支払いをしているか、していないかが影響することがあるわけです。多くの事例を見ていますが、代金の支払い前か支払った後かで対応が異なることは少なくありません。

住宅の完成を確認してから、引渡し・代金の支払いを行うことは本来は当然のことですので、遠慮なく施工者(又は売主)と交渉しましょう。そして、完成時の内覧会では建物の施工品質をしっかりチェックしなければなりません。

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