住宅購入を検討されている方が、広告を見て気になる物件があり広告を掲載している不動産業者に問い合わせて見学しようとしたところ、「その物件は売れてしまいました。代わりに同じような条件の物件をご案内しますよ」と回答されることがよくあります。たまたま直前に売れてしまった可能性もあるのですが、実際にははじめから無い物件であることも少なくありません。
はじめから無いといっても、そもそも存在すらしていない物件ということではなく、以前に売却物件として出ていたものの、既に売れてしまっていて販売されていないという意味です。通常ならば、売れてしまえば広告に載せられることは無いわけですが、他のお客様からの問合せを待って別の物件を案内する、つまり集客のために意図的に利用している不動産業者があるということです。
新聞折り込みのチラシであれば、前もって広告を制作・印刷して配布の手配もしているために、急に売れたからといって物件の掲載を止められないことはあります。しかし、それでも1週間以内には止められますので、2週にまたいで掲載している場合は怪しいですね。大量に印刷しているということもありますが、それはそれで計画上の問題があります。
また、インターネットの不動産ポータルサイトや不動産業者の自社サイトであれば、すぐに掲載したり、削除したりできますので、売れてしまってから1週間も載せいればおかしいです。しかし、実際に問題だと言えるのは、この程度の期間ではなく売れてから1ヶ月以上も掲載し続けるケースがあるという点です。これはちょっと悪質ですよね。
こういった実際には販売されていない物件を掲載して集客しようとする広告をおとり広告と言います。昔に比べれば減ったようですが、それでもまだ存在しています。ちなみに、賃貸物件の広告ではおとり広告だらけです、、、不動産ポータルサイトで借りたい条件を入力して検索したときに、検索条件によっては半数程度がおとり物件という驚きの結果もあります。
売買物件では賃貸物件ほどひどくはないものの、残念ながらおとり広告は存在していますので、「その物件は売れたところなんです」と言われても本当かどうかはわかりません。不動産業者に問い合わせた時にすぐに「売れました」と言われるとは限りません。
まずは問合せた方(住宅購入を検討されている方)の連絡先を聞いておいてから、折り返しかけてきて「売れた」ということもあれば、物件案内日を約束しておいて、当日に会ってから「今朝売れました」なんてこともあります。しかし、この説明が本当のこともあるため、事実を知るのは難しいですね。
広告で見た物件が無いなら時間をつくって不動産業者と会う時間ももったいないので、「物件が無い、もしくは無くなったら当日でもいいので先に連絡がほしい」と伝えておくこともできますし、営業マンと会った時点で判明すれば、その時点で他の物件の案内を断ることもできます。
ただ、ここは考え方次第でもあります。不動産業者によっては広告に載せられない物件情報を持っていることもありますので、まずは会って希望条件を伝え、他の物件情報も引き出してみることも1つの住宅探しの方法です。
不動産業者に希望条件を伝えておくことで、新たな物件情報が出てきたときに早めに教えてもらえることもありますから、真剣に住宅探しをされるならばまずは不動産業者と会ってみることです。おとり広告はダメですけどね。