既存住宅売買かし保険と中古住宅の保証

既存住宅売買かし保険は、多くの人が普段は関わることがないため、わかりづらい点も多いものです。ここでは、その保険金や保険の対象範囲、保証サービス、そしてメリット・デメリットについて解説します。

支払われる保険金と保険の対象範囲

中古住宅の購入後、実際に保証や保険の対象となる欠陥が見つかった場合には、保険金が支払われるのですが、この保険金について確認しておきましょう。

○保険金の支払い対象となる費用
 「修補費用」「調査費用」「転居・仮住まい費用」

○保険金の支払い金額
 修補費用等 - 5万円

○保険金の支払い対象となる部位等
 以下の場合に保険金の支払い対象となります。

  • 構造耐力上主要な部分(柱・梁・基礎・土台など)が基本耐力性能を満たさない場合
  • 雨水の浸入を防止する部分が防水性能を満たさない場合(雨漏りしたとき)

 また、かし保険法人によっては、以下を保険の対象として取り扱っていることもあります。

  • 給排水管路が通常有すべき性能または機能を満たさない場合(水漏れや配管の逆勾配)
  • 給排水設備・電気設備の機能が失われた場合(設備の機能停止)

○保険金の支払先
 保証している事業者(不動

中古住宅の購入者が利用する既存住宅売買かし保険と中古住宅の保証サービス

既存住宅売買かし保険と中古住宅の保証サービスの仕組みなどは前述した通り(既存住宅売買かし保険と中古住宅の保証サービスの仕組み)ですが、実際に中古住宅を購入するときに、購入者がこれらを利用するときについて説明します。

2つのパターンがあると前述しましたが、1つは売主が不動産会社(宅建業者)である場合で、もう1つは個人間売買の場合です。

売主が不動産会社(宅建業者)である場合

1つ目の「売主が不動産会社(宅建業者)である場合」は、購入しようとした中古住宅の売主が保証している形ですから、保証や検査をする会社を購入者が探す必要はありません。ただ、その売主である不動産会社が保証・保険を取り扱っていなければ、保証・保険を利用できないことになります。

個人間売買の場合

もう1つの「個人間売買の場合」は、購入者が保証・保険に対応した住宅検査会社(住宅診断会社)を探して、その会社へ依頼することになります。不動産仲介業者が紹介してくれることもあるでしょう。住宅検査会社(住宅診断会社)によっては、保証・保険を適用するための検査だけではなく、より細かな項目まで調査して診断結果を聞けたり、補修すべき点の優先度などのアドバイスをもらえたりするので、そういった住宅診断(ホームインスペクション)サービスも検討する価値があります。

住宅には、保証・保険の適用外となる問題も非常に多いため、住宅診断(ホームインスペクション)の利用をベースとして考え、その上に保証・保険を付加するかどうかで考えるとよいでしょう。

中古住宅を購入する方は、住宅診断(ホームインスペクション)や既存住宅売買かし保険と中古住宅の建物保証サービスを利用することが多くなっており、これからの住宅取得にはこれらのサービスはかかせないものです。

メリット・デメリット・問題点

既存住宅売買かし保険を活用した中古住宅の建物保証サービスを利用するかどうか判断するためには、そのメリットとデメリットについて把握しておいたいものです。ここに、思いつく限りのメリットとデメリット、そして問題点について挙げておきますので参考にしてください。

中古住宅の買主のメリット

  • 住宅の瑕疵(主要構造部の瑕疵や雨漏り等)があっても補修費用の負担を抑えられる安心感
  • 保証者が倒産しても購入者に保険金が支払われる
  • 保険加入のために設けられた基準に適合すれば対象物件への安心感がある

既存住宅売買かし保険と中古住宅の建物保証サービスの最大のメリットは、万一のときに補修費用を買主が負担しなくてよいという点です(但し、免責により一部負担することが一般的)。補修費用は保証者に負担してもらって、保証者には保険金が出るというシステムです。

保険加入のためには、必ず検査を実施しますが、既存の建物ですから全てを調査できるわけではありません。検査に合格しても、瑕疵が見つかる可能性があるわけですから、この保証と保険は安心感を与えてくれます。

また、保証者(不動産会社や住宅検査会社)が倒産してしまったとしても、買主には保険法人から補修費用が支払われる点も安心感がありますし、そもそも保険に加入するために実施する住宅検査で基準に合格すればそれ自体でも安心感を得られる方も多いでしょう。

中古住宅の買主のデメリット・問題点

  • 保険に加入不可の物件となった場合、購入してよいか判断しづらい
  • 検査基準に不適合となり保険に加入できないこともあるが、検査費用はかかる
  • 保険加入可否の結果のみでは補修すべき点の優先度がわからない
  • 保証・保険の対象外の項目に瑕疵・問題が多い
  • 構造上の瑕疵は保険がおりにくい可能性がある

デメリットは既存住宅売買かし保険の基準に適合するかどうか判定するために、検査を受ける必要があり、その検査費用がかかる点です。

検査して基準に適合しておれば、さらに保険料を支払う(実際には保証者に対して保証料を支払う)必要があります。費用面での最大のリスクは検査費用をかけて検査したものの、不適合となり保証を受けられないケースがありうるという点です。不適合でも検査費用はかかります(この場合、保証料はかからない)。

ちなみに、保証されない(保険に加入できない)物件だからといって、ただちにその中古住宅が購入してはいけないような危険な物件だというわけではありません。保険加入のための検査基準は厳しい基準となっている点もあるため、適合しない理由によってはさほど大きな問題ではないこともあります。不適合の理由を確認してから、購入判断したほうがよいでしょう。

ところで、第三者の専門家に住宅診断(ホームインスペクション)を依頼した場合、対象物件の状態について細かな説明を受けることができ、補修の優先度についてレクチャーを受けることもできることが一般的です。しかし、既存住宅売買かし保険の審査(現場で行う検査)だけでは、そこまでのアドバイスを受けられないことも多い点もデメリットです。

そして、保証と保険の対象とならない点について問題を抱えている中古住宅は多いので、保険の基準に適合したからといって全面的に安心できるわけではないということにも注意が必要です。たとえば、断熱材の状態に問題があっても保険には加入できますが、エネルギー効率の悪い住宅だということになってしまいます。

こういった点については、保証や保険で安心を得ることはできませんので、できれば第三者の住宅診断(ホームインスペクション)と併用することが推奨されます。住宅診断(ホームインスペクション)のオプションとして既存住宅瑕疵保険・保証サービスを利用できることもあるので、住宅診断サービスを提供する会社に相談するとよいでしょう。

最後に1つ知っておきたいこととして、主要な構造部分の瑕疵については買主が保証を請求しても、保険の対象外と判断され(保険対象の症状ではないと判断され)、保証を受けられないこともありうるという点です。

何らかの症状が見つかったときに、それが主要な構造部分の瑕疵であると判断するかどうかは、買主と保険法人で意見が分かれる可能性があります。保険制度を利用しているから、必ず保険の適用を受けられて安心なものだと過信しないことも大事です。

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