上棟は住宅検査の好機

上棟とは棟上げとも呼ばれますが、住宅を建築するときに、基礎工事の完了後の土台、柱、梁などを施工し、さらに棟木を上げることを言います。

そのときに行う儀式のこと自体を上棟と呼ぶこともありますが、儀式は上棟式と呼んだ方がわかりやすいでしょう。上棟式は、上棟したことを感謝するためのものですが、今では現場の職人などをもてなすために行われているといっても良いでしょう。もちろん、施主にとっては記念にもなります。

しかし、住宅の安全・安心を考える上では、この上棟(棟上げ)の後は、住宅の施工品質を検査(チェック)する良い機会とも言えますので、単なる上棟式で祝ってお仕舞いとせずに施主(買主)はしっかりチェックしておきたいところです。

この上棟(棟上げ)後のタイミングでは、柱や梁、筋交いなどの構造上主要な部分、つまり住宅の骨組みとなる本当に大事な部分を検査(チェック)できる絶好のチャンスです。

具体的には、以下のような項目が検査項目として挙げられます。

・土台
 土台継手、接合状態、金物の状態、防腐措置

・柱
 通し柱の位置と垂直度、土台との接合、横架材との接合
 金物の状態、欠込み部の補強、防腐措置

・梁
 構造耐力上支障のある欠込み、接合状態、金物の状態

・筋交い
 接合方法、金物の取付け、両端の柱の金物による固定

このタイミングあたりでは、住宅の条件によっては建築確認検査機関による検査が実施されるのですが、これは売主や施工者が実質的に依頼者となって行う検査であり、且つ、工事の細部までは検査してもらえません。

しかし、建築トラブルの多くは細部にも大変多いので、このような大事な工程では、できれば第三者の住宅検査会社に自ら依頼して検査しておきたいところです。それだけ重要な工程であるということです。

注意点としては、上棟日は検査には早いという点です。上棟後、柱や梁などの構造金物が取り付けられた直後あたりがおすすめのタイミングです。

上棟(棟上げ)をただの記念とせず、安心・安全な住宅にするための良い検査の機会としてしっかり認識しておいてください。

ホームインスペクションのアネスト

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