質問内容
購入を検討している中古物件は不動産会社が売主になっています。前の所有者が住み替えするときに、不動産会社が買い取ってリフォームして販売しているようです。
中古物件を買うなら住宅診断(ホームインスペクション)をしようと考えていましたが、不動産会社なら買取りするときに自社ですでに住宅診断(ホームインスペクション)をしているのではないかと思いますがいかがでしょうか?また、住宅診断(ホームインスペクション)しているとすれば、安心できると考えてよいでしょうか?
回答内容
中古住宅を探されていると意外なほど、不動産会社が売主になっている物件は多いですね。住み替えで自宅を売却するときには不動産会社に買い取ってもらう形が取引をスムーズに進められることが要因の1つになっています。
不動産会社が物件を買い取り(下取りともいう)するときに、住宅診断(ホームインスペクション)しているだろうと考える方は多いかもしれません。しかし、現実には意外なほどその確率は低いでしょう。不動産業界は今でこそ、徐々に建物に対する意識が高まってきていますが、もともとは建物への意識(劣化状態・不具合などの有無への意識や長持ちさせようという考え)が非常に希薄でした。
日本の建物の寿命が短い原因の1つが、この意識の希薄であるとも言えます。そのため、不動産会社の多くは中古住宅を買い取るときに住宅診断(ホームインスペクション)をしようとするケースは稀で、建物の状態もわからないまま購入して、再販売しているケースが多数を占めています。そのため、不動産会社が売主であっても住宅診断(ホームインスペクション)をしているとはあまり期待しない方がよいでしょう。
最近は徐々にこういった意識も改善しつつあり、なかには住宅診断(ホームインスペクション)をしてから買い取ることもあります。しかし、不動産会社としては「買い取らなければ商売にならない」「少々のことなら目をつぶってしまっても」といった考えをもつことも多く、住宅診断(ホームインスペクション)をして買い取っているから大丈夫な建物だろうと判断するのは住宅購入で失敗する原因になりかねません。
また、住宅診断(ホームインスペクション)をして買い取ったときに、コストをかけては儲からないからと考えて、補修しておくべき不具合や劣化事象を確認してもコストがかかりすぎることを理由に放置していることもあります。しかも、リフォームした際にそういった箇所が隠れてしまって、後から確認することが容易でないこともあるのです(わざと隠すということも)。
普通の感覚であるならば、リフォームするついでに補修すればよいと考えるものですが、「見えない部分のコストをかけても販売価格に上乗せできないから」と考える不動産業者は少なくありません。不動産業者が販売しているリフォーム済み中古物件の多くは、表面的なリフォーム(壁・天井のクロス張替えや畳の交換など)に限られていることが多いものです。
最近ではリノベーション済み中古物件だと告知して販売している住宅も多いですが、大した工事はしていない物件が多いのが現実です。もちろん、しっかり診断して補修すべき点に対応している物件もあるので、それぞれの物件について個別に慎重に判断していくしかないでしょう。