建売住宅の第三者の住宅検査

建売住宅の購入時に、買主が不動産会社(売主や不動産仲介業者)に対して、「契約前に住宅診断しておきたい」と申し出されると、不動産会社から「新築は売主側で検査を入れているので大丈夫」「既に第三者検査を入れているので安心」などと説明を受けることがあります。つまり、買主自身が第三者の住宅診断を入れる必要がないと説明されることが多いです。

不動産会社の説明(第三者検査があるから買主が住宅診断しなくて大丈夫)を信用してよいものでしょうか?

結論からいえば、「ノー」です。

では、「ノー」の理由をご説明します。まず、新築の建売住宅において不動産会社が話す「売主が入れる第三者検査」とはどのようなものか理解しなければなりません。その第三者検査としては以下のものがあります。

(1) 建築確認制度に基づく検査
(2) 住宅瑕疵担保責任保険(単純に瑕疵保険と呼ぶことが多い)の検査
(3) 住宅性能評価の現場検査
(4) フラット35の物件検査
(5) 長期優良住宅

「これらを利用しているから安心」ということなのですが、これらの住宅検査をした住宅においても建物の施工不良、欠陥工事はなくなっておりません。建築トラブルは年々増えるばかりです。なぜ、これらの検査が機能していないのか疑問に思われる方もいますが、その理由は簡単です。

「(1)建築確認制度に基づく検査」「(2)住宅瑕疵担保責任保険の検査」「(3)住宅性能評価の現場検査」「(4)フラット35の物件検査」は非常に簡易的なもので、それぞれが法規に適合しているのか、それぞれの基準に適合しているのかを確認しているにすぎず、施工不良などを細かく検査しているわけではないからです。

これらは元々、施工ミスを無くすことを目的としているわけではないため、この検査で施工上の安心を得るという説明には明らかに無理があります。ちなみに、「(5)長期優良住宅」では現場で行う検査自体がありません。

よって、不動産会社の話す「瑕疵保険、性能評価、長期優良住宅、建築確認等の検査があるから大丈夫」という説明は真実ではないのです。毎年、1500件以上の住宅検査(住宅診断やホームインスペクションともいう)をしてきたので、この事実をよく見てきました。

不動産会社はこれらの事実を知っていて、故意に誤った説明をしているケースもありますが、知らずに検査が本当に適切に行われていると信じているケースもあります。

不動産の営業マンに建築の専門的な知識や実態の把握を求めるのは少し酷な部分もありますが、知らずに行っているから仕方ないという話でもないです。買主はリスクを負って住宅を購入するわけですから、自分自身で責任をもって判断しなければなりません。

不動産会社の話す「第三者検査があるから大丈夫」は事実ではないので、買主が自ら第三者の住宅検査(住宅診断・ホームインスペクション)を入れることを考えましょう。

そして第三者の住宅検査(住宅診断・ホームインスペクション)を利用する際に買主が注意すべきは、「自称第三者」です。

たとえば、不動産会社や施工会社と提携している検査会社もあり、主に不動産会社からの紹介で成り立っています。そのような検査会社にとっては、買主ではなく不動産会社こそがお客様になってしまい、不動産会社の利益に反することを言わない(もしくは表現を操作して住宅の印象を悪くしない)といったことが生じてしまっています。

なかには、第三者を自称する検査会社が別会社・組織をつくって、裏で不動産会社と提携していることまでありますし、不動産会社が自ら検査をすることもあります。

これでは、住宅検査(住宅診断・ホームインスペクション)を利用する意味があるとはいえません。むしろ損害を受けてしまいかねません。買主は、不動産会社の下請け先や提携先ではない、利害関係のない会社に依頼する必要があります。大きな買い物をするときには、多少の追加コストがかかっても長く住む家の安心には代えられませんね。

ホームインスペクションのアネスト

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第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。