建売住宅の寿命は20年か30年か?

新築の建売住宅を購入しようとする人から、「建売住宅の寿命は30年だと聞きましたが本当ですか?」と質問されることがあります。なかには、建売の寿命は20年ぐらいだと考えている人もいるようです。新築住宅ならば、購入時に投資する金額のうち建物が占める割合は大きいですから、20年や30年で本当に寿命が尽きてしまってはその時に建て替えする必要が生じてしまい、人生設計も大変すぎますね。

実際のところ、建売住宅の寿命についてどのように考えておくべきなのか、解説します。

建物の寿命とは?

建物の寿命について話をするとき、話を複雑にしてしまうのは、人によって寿命への感じ方、考え方が異なるという点です。

住宅のあらゆる箇所において劣化の進行が激しく、見た目でも危ない状態だと思われるものであっても気にせずに使用する人もいます。また、まだまだ充分に居住できそうなものであっても、早めに建替えする人もいます。

よって、どの状態で寿命が尽きたと考えるかによって判断が異なることになるわけですが、ここでは主要構造部分の劣化が激しく、それを回復するためには多大な修繕費がかかる状態だと仮定してお話しします。設備の交換が必要だということについては、建物の寿命とは考えていません。

建売住宅は何年もつか?

建売住宅の寿命について質問を受けるときの多くは、寿命が20年か30年かということです。実際には30年超の住宅も多く見られますが、なぜか20年、30年が1つの目安のように言われているようです。

建売住宅は20年や30年が寿命と言われるのは何故か?

税務上の減価償却資産の耐用年数では、木造住宅は20年か22年であり、鉄筋コンクリート造は47年とされています。税務上の話と建物の実際の寿命は全く異なる話なのですが、この耐用年数が寿命の話の際に持ち出されることは少なくありません。

また、最近の建売住宅と以前の建売住宅の違いもあります。使用される材料の相違から、建物の耐久性については時代による相違があります。新しく開発された材料を使用する最近の住宅の方が寿命が長くなるのは理解できますね。

古い時代の建売住宅のイメージをそのまま持っていると寿命は30年ぐらいまでだろうと考えてしまうのでしょう。

築30年超の建売住宅は非常に多い

中古住宅の売買市場を見ていくと、築30年を超える住宅も多いです。もちろん、築年数が経過している物件の方が購入検討者からは心配の声があがりやすいですが、建物によってその状態には違いがあります。

なかには築40年を超える物件も取引されていますが、建物の基礎がしっかりしておれば、いずれは大規模リフォームをすることを前提に購入する人は少なくありません。

住宅診断(ホームインスペクション)で建物の状態を見ても、ある程度のリフォーム、メンテナンスをすることでまだ長く使用できるということはよくあることです。

建売住宅と注文住宅の寿命

一般的に、注文住宅であれば建売住宅よりも長持ちするものだと考えている人が多いようです。「建売は寿命が早そうだから注文住宅にしようかな」とお話しされる人もいますが、建売であるか注文であるかは、そもそも寿命とは関係がありません。

建売や注文というのは単に取引形態を言っているものであり、建物の耐久性を示しているわけではないのです。寿命という意味では、使用材料・施工品質・適切なメンテナンスの3点が大きく影響するものですから、個々の建物ごとに比較検討するしかないのです。

この3点のいずれが欠けても寿命には影響がありますから、建てるとき(買うとき)だけではなく、住み始めた後も注意することが必要です。
建売住宅の寿命は、20年でも30年でもなく、使用材料・施工品質・適切なメンテナンスの3点次第であるということです。

 

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