安い建売住宅を買うデメリットやリスクと購入時の注意点

建売住宅に対してマイナスイメージを持っている人も少なくないようです。しかし、新築住宅を買うとき、現実的な選択肢として建売を買うという人は非常に多いです。建売住宅に関するメリットやデメリットについては、「建売住宅を購入するメリットと注意点」と「建売住宅を購入するデメリットと注意点」を参考にしてください。

今回は建売住宅のなかでも、価格の安さを特徴としている物件に限定して、書いています。安い建売を買うことを前向きに、真剣に検討するため、そのデメリットやリスクを理解し、できることなら対策をとれるようにしたいものです。

安い建売住宅のデメリットやリスクを許容できるかどうか

売買価格の安い建売住宅は、大手ハウスメーカーが供給する高価格帯の建売や注文建築、または地域の不動産会社が供給する中価格帯の物件と比較して、どういったデメリットがありリスクが高いのか解説します。このデメリットやリスクに対処できるようであれば、安くても購入を前向きに考えやすくなりますね。

使用材料・商品のグレードが低い

価格が安いからには、それだけの明確な理由があります。それが、もっと高い物件との相違点でもあります。

その1つが、使用される商品や材料のグレードの違いです。基本的にはグレードの低いものが使用されており、高価格帯のものと比較すれば、そのグレード差は歴然としています。ただ、中価格帯のものと比べたときに、それほどの差を感じないこともあります。

材料や商品のグレードに対してこだわりを持っている人には、向かない住宅だと言えますが、それほど興味を持っていないことであるならば、前向きに考えやすいです。

施工ミスが多い

建築途中に現場で施工品質のチェックをすることがないため、下請け業者の能力、気持ち、時間のゆとりなどによって品質面で影響を受ける部分が非常に大きいです。売主が施工品質をチェックすることはまずありませんので、下請け次第の運・不運といった面があるのが特徴的です。

瑕疵保険に加入している住宅では、保険会社による検査が入ってはいるものの、確認する範囲・項目は非常に限定的なものであり、検査体制としては不十分であると言えます。

買主として取るべき対策は、施工品質の確保のため、自らが主導して第三者の住宅診断(ホームインスペクション)を入れることです。完成物件を買うときには、完成状態を検査し、建築前や建築中の物件を買うときには建築中に何度か検査に入ってもらいましょう。

第三者に住宅検査を依頼すれば、その費用がかかるものの、安心感が大きく増します。施工ミスに遭遇する可能性が他の物件よりも高いことを考慮すれば、良い対策と言えます。売買価格が十分に安いので、検査費用を捻出してもメリットは十分にありますね。

地盤改良工事が不十分なことが少なくない

低価格を実現するためには、いろいろなところでコストダウンを図っています。その1つに地盤への対応の問題があります。地盤が弱い場合、地盤改良・地盤補強工事で対応することになりますが、その判断があまく、十分な地盤改良・地盤補強がされていないことがあるのです。

これは、高価格帯の物件でも確認されることがありますが、確率的には低価格帯の物件の方が多いです。

地盤改良・地盤補強工事が不十分である場合、基礎や壁などに亀裂が現れ、建物が傾くという症状を引き起こすことがあります。買主としては、問題が大きいですね。

デメリットやリスクとしてあげたなかでも、この点が最も対応が困難です。

営業マンの対応が悪いことが多い

価格の安い建売住宅を購入する人から本当によく聞く話が、営業マンの対応の悪さです。「約束を守らない」「レスポンスが悪い」「売主の一方的な都合ばかり押し付ける」「購入後に施工ミスを指摘しても対応しない」などといった不満を何度聞いてきたかわかりません。

対応の悪さは多くの人にとってストレスになります。

これへの対策もまた難しいところですが、やりとりはできる限り記録に残したいものです。話したことをメモしたり、メールを利用することでやり取りが残るようにしたりすることです。

また、あまりにひどい場合は担当者の変更を希望してもよいでしょう。

ちなみに、売主によっては自社で販売活動をせず、他社(不動産仲介業者)に任せていることも多く、その場合はその不動産仲介業者の担当者次第ということになります。

建売住宅に対する間違った見解

冒頭で「建売住宅に対してマイナスイメージを持っている人も少なくない」と書きましたが、そのなかには事実と異なるイメージを持っている人もいます。ここでは、2つの事例を紹介します。

安い建売は長持ちしない(寿命が短い)

建売住宅とは寿命の短いものであり、安い物件ならば尚更であると考えている人がいます。確かに使用する材料については、高価な物件よりもグレードは低いですが、だからといって単純に建物が長持ちしないというわけではありません。

実際には、新築時の施工が丁寧であり、完成後のメンテナンスもきちんとしておれば、長持ちします。「安い建売は20~25年で建替えすべきだ、30年ももたない」と主張する人もいますが、全てがそういうわけではないのです。

新築時の施工チェックをきちんとしておけば、外壁・屋根などにおいて適切なメンテナンスを心がけることで長く暮らしていくことは十分に可能です。

欠陥住宅ばかりではない

安いのは手抜きしているからだと主張する人もいます。しかし、大手ハウスメーカーでも、監理をきちんとしていることは少ないですし、安いから手抜きだと決めつけるのは誤りです。下請けへの教育、資材等の管理の面で低価格帯の住宅の方が劣るところはありますが、欠陥住宅ばかりができているわけではありません。

ただ、安心できるものだというわけではなく、高価格帯の住宅に比べれば欠陥・施工ミスの問題は多いです。

ローコスト建売住宅の魅力

低価格な建売住宅の魅力についても挙げておきます。

とにかく安くて買いやすい

最大の魅力は、やはり価格の安さです。建物延床面積が25坪として建物価格が1,000万円程度ということはよくあります。もちろん、土地代は別ですね。これならば、中古住宅の購入と比べてもそう大きな差が出ないため、購入しやすいです。

住宅ローンは自己資金や年収などの借りる人の条件によって融資額が異なりますが、価格が安ければ必要な融資額を借りられやすいですから、結果的に購入しやすくなります。

昔なら、この価格で建築されることがなかったので、中古住宅しか買うことができなかった人でも今ならば新築を買うことができるわけです。安さは大きなメリットですね。

売却時の下落幅が小さい

建物価格が元々安いため、将来、中古住宅として売却するときに、それほど大きく価格が下落しないというメリットがあります。新築時点の建物価格が1,000万円のものと、1,500万円のものを比べれば、10年後、20年後の価格の下落幅は1,500万円の方が大きいということです。

もちろん、立地などの条件が実際の売買価格に対して大きく影響しますから、個々の物件によって差があることは理解しておきましょう。

安い建売住宅を買うとき、第三者の住宅診断(ホームインスペクション)を利用したり、必要なメンテナンスをしたりすることで、対策をとれることもあります。しかし、一方で地盤のことや担当者の対応の質など対応が困難なこともあります。

単純にメリット・デメリットを比較するだけではなく、対策のことまで考えて購入するかどうか検討してはいかがでしょうか。

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