シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

デザイナーズ住宅を購入・建築するときの注意点

デザイナーズ住宅を購入・建築するときの注意点

せっかくマイホームを持つなら他人と同じではない住宅にしたい。自分だけのオリジナルの家がほしい。理想を追求した住まいにしたい。デザイン性の高い住宅に住みたい。

住宅を購入したり、新築したりするときに、こういった想いを持つのは悪いことではありません。大きな買い物をするわけですから、むしろそういった考えももってほしいものだと思います。日本の住宅、とくに建売住宅では同じ分譲地で10軒の家があれば、10軒とも同じデザインというのは当たり前のようになっています。

外観である程度の協調性をもつことは、街の形成という点で必要なことですが、個性が全くない住宅が多すぎると感じる人も多いでしょう。設計者(建築士)にはそう感じている人は相当多いはずです。

一方で、デザイナーズ住宅として売り出している建売住宅や建築家と何度も打ち合わせて建築した注文住宅において、いろいろな問題を抱えていることもあります。デザイン偏重で住み手のことを真剣に考えていないのではないと思われるものは少なくありません。

今回はデザイナーズ住宅の問題点やこれを購入したり、新築したりするときの注意点についてみていきます。ここで取り上げる話題は以下のものです。

  • デザイン重視で機能性や普段の生活が犠牲に
  • デザイン重視で安全性が犠牲に(建築トラブルが多い)
  • 建築家の押しつけに屈していないか
  • 奇抜なデザインは売りづらい
  • デザイナーズ住宅を購入・建築するときの注意点

上記について、1つずつ見てきましょう。

デザイン重視で機能性や普段の生活が犠牲に

デザイナーズ住宅ですからデザインを重視するのは当たり前のことですが、その結果、現実によくある失敗や問題をあげておきます。

部屋が丸くて使いづらい

建物の一部を丸くする人がいます。これは、直前ばかりの単調なデザインではなく、変化をもたらしたいという人が採用することがありますが、この形状が向かない住宅は多いです。特に、都市部の狭小地において建物や部屋の一部を丸い形状にしてしまうと無駄なデッドスペースが生まれ、勿体なく、かつ使いづらくなります。

わかっていて施主や設計者が採用しているのですが、居住し始めると後悔することが多いです。後悔してから、これを変更するにもコストや労力の面から大変なのは言うまでもありません。

空間が広すぎて熱効率が悪い

広いリビング、開放的なリビングに憧れる人は多いです。開放感はよいのですが、熱効率の面では大きな不利となり、エアコンの使用量が増えます。電気代の負担は生活を圧迫することになりかねません。たとえば、吹抜けのある家というのも人気ですが、これは空間が広すぎて負担になる例と言えるでしょう。詳しくは、「吹抜けの家のメリット・デメリットと注意点」もご覧ください。

外から暮らす様子が見える

これも開放感から採用することがあるのですが、室内から屋外がよく見えるプランがあります。しかし、よく考えてプランニングしないと外からも室内が見える家になっていることがあります。

建築トラブルが多い

デザイン重視で安全性が犠牲に(建築トラブルが多い)

デザイナーズ住宅で最も心配で、被害にあった後の対応が大変なものが、安全性を犠牲にしたプランです。こういった問題を引き起こすのは、経験の浅い若い設計者に多いですが、実はベテラン設計者でも罠に陥っていることがあります。

片流れ屋根の雨漏り

建売住宅でデザイナーズ住宅をうたっているものに、屋根の形状が片流れになっているものが少なくありません。

片流れ屋根はどうしても、雨漏りが発生しやすいため、施工時によく注意しなければなりません。雨漏りが2階のサッシ周りからしているという理由で、売主や工務店がサッシ周りばかり調査していたけれども原因が確認できないと問い合わせがあり、アネストで調査した結果、片流れ屋根の上部分からだったということが何度かありました。

この形状でありながら、屋根からの雨漏りを疑わずに他の箇所ばかり調査している時点で、この屋根のリスクをわかっていないわけですから、特別に注意して施工していなかったのかもしれません。

部屋が広くて梁が撓み、床が傾く

広い空間を作るために失敗した事例です。上階の荷重を支えるための壁や柱の設置間隔を広げてしまい、梁が撓んでしまったという住宅を何度も何度も調査してきました。

設計者は、法定通りに構造について計算しているから大丈夫だと説明していたのですが、法的に問題ないということと実際に問題が生じるかどうかは別問題であるという実務をわかっていなかったのです。一度、こういった問題を経験すれば、次回の設計からは注意すると思われますが、その最初の住宅にあたってしまった購入者や施主はショックですね。

梁を支えるべき柱等が不十分で、その梁が撓んでしまった場合、梁に載っている床も撓んだり傾いたりしてきます。床鳴りがひどくなったり、歩いていて異常を感じるようになったり、置いてあるタンスも傾くために壁と間に不自然な隙間が出来たりすることもあります。

他にも建具に異常をきたした事例もありますので、広い空間のあるデザイナーズ住宅を購入するときには注意しましょう。

在来工法の浴室で漏水が多発

最近の住宅の多くはユニットバスが採用されています。昔ながらの在来工法の(現場で施工する)浴室に比べて施工が簡単であることと工期も短くなることから、建売住宅で在来工法の浴室を採用することはまずありません。注文建築でも浴室にこだわりをもたない限りはユニットバスになっています。

こだわりをもつならば在来工法もよい選択肢です。しかし、施工に注意しないとユニットバスよりも漏水する確率がはるかに高いため、施工能力や監理能力が問われます。今は、ユニットバスばかりなので在来工法の浴室を施工したことのない工務店というのもあります。

施工に注意してもらうのは当然として、浴室周りの床下を確認しやすい点検口を設定してもらっておくとよいでしょう。

建築家の押しつけに屈していないか

デザイナーズ住宅の建売物件を買うときには、設計者と打合せすることもありません。デザイナーズとはいえども決められたプランの住宅を購入するだけです。一方で、注文建築で建てる場合には、設計者と何度も打ち合わせしながら進めていくことになります。

設計者(=建築家)と言われる人のなかには、強いこだわりや個性を持っていて、それを施主に押し付けようとする人もいます。そういった人の方がよいという施主もいるものの、打合せを重ねるうちに自分の意見や希望を本音とは違うのに曲げていくことがあります。

建築家への遠慮ですね。よい建築家は、施主の意見や希望を十分に聞きつつ、他の案を提案して、メリット・デメリット・特徴をよく理解してもらった上で、施主に選択してもらうものです。一方的な押し付けでデザイン等を決めているものではありません。

奇抜なデザインは売りづらい

奇抜なデザインは売りづらい

デザイナーズ住宅の大きなデメリットの1つとなりえるのが、奇抜な住宅であった場合の売却問題です。前述したように、機能性や日々の暮らしやすさを犠牲にした住宅は非常に売りづらくなります。大きな住宅でもないにもかかわらず、部屋や建物の一部が丸いとそれだけで不人気物件になってしまうリスクがあります。

内装のカラーならば、簡単に変更できるのでよいですが、形状の変更は容易ではありません。将来、買い替えなどで売却する可能性がある人は、今すぐのことだけではなく将来の売却時のことも考えましょう。

デザイナーズ住宅を購入・建築するときの注意点

デザイナーズ住宅や住まいのデザインなどと言うと、途端に強く否定的になる人もいますが、デザインをよく考えて実現していくことが悪いことではありません。むしろ、日本の住宅はもっともっとデザイン性を考えた方がよいのではないかと考えます。

しかし、デザインを見た目だけで考えることに問題があります。特に建売の自称デザイナーズ住宅には問題が少なくないようです。売主が設計者に対して十分に対価を支払って、デザインを考えてもらうということはほとんどないため、表面的なデザインしかできないのではないでしょうか。

本来のデザインにはコストもかかるものです。設計段階でも施工段階でもそうです。ここを疎かにしてよいデザインの住宅の実現は難しいですね。また、設計者や工務店も安全性への気配りを十分にしなければなりません。必死にデザインを考えて建てられた注文住宅なのに、全く点検口が無い家というものもありました。

住み手のこれからのことを真剣に考えていない証ではないでしょうか。

○関連記事・コラム

○専門家に依頼するなら

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする