フラット35の団信のリニューアルで総支払額が減少する?

1.リニューアル経緯

平成29年10月1日申し込み分から、フラット35の団体信用生命保険料(以下団信)が変更されます。

民間金融機関の住宅ローンは団信への加入が義務づけられ、団信の保険料は金利に含まれていますが、現行のフラット35は団信への加入が任意で、加入した場合は別途保険料を支払う必要があります。

この団信の保険料を残高不足で引き落としできなかった場合に、万が一のことが発生し保険金が支払われないというリスクを排除するために、今回のリニューアルが行われることになりました。

2.総支払い額が減少する?

新制度では団信の保険料が金利に含まれるため、現行よりも金利が上がります。住宅金融支援機構の試算では、新制度になった場合の総支払額は、下記の通り約35万円軽減されるとあります。ただ、金利等の前提条件や返済期間中に繰り上げ返済を実行すれば試算額は大きく変わりますので、参考程度に見ておくほうが良さそうです。

(前提条件:借入額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、金利1.12%、新制度1.40%)
総支払額

3.保障内容が充実し基準も明確化

現行の住宅金融支援機構団信の保障内容は死亡と高度障害ですが、リニューアル後は死亡と「身体障害保障」に拡充されます。

例えば、ペースメーカーの植え込みや人工透析で日常生活が極度に制限されている場合などが挙げられます。また、現行では高度障害の基準が曖昧でわかりにくいものでしたが、リニューアル後は、身体障害者福祉法に定める障害等級(1、2級)の「身体障害者手帳」が交付されることが支払い条件になり基準が明確化されます。

4.介護保障が新たに追加

三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)付き団信の保障に新しく「介護保障」が追加されます。公的介護保険制度による要介護2以上と認定を受けた場合、保険金が支払われローンが完済されます。要介護5段階の内、比較的介護度が低い要介護2の認定でも保障が受けられるのはかなりの安心感があります。

5.ライフプランが大切

日銀のマイナス金利導入から金融機関の住宅ローン金利競争は限界に近づいているのが現状です。最近は金利以外での保障や様々な付加価値サービスでの競争になっており、金融機関や住宅ローン選択は一筋縄ではいかなくなっています。

ただ、これらのことを考えるより大切なことは、ライフプラン=人生計画をしっかり立てどの程度の資金を住宅に充てることができるのかという視点です。同年齢で同年収の方でも家族構成や価値観によって住宅に充てられる資金は変わってきます。

住宅ローンなどの情報収集もよいですが、まずはライフプラン作成から実行に移してみてはいかがでしょうか?

<執筆者>
・執筆者:長谷剛史
・所属会社:長谷ファイナンシャルプランナー事務所
・主な資格:ファイナンシャルプランナー(CFP・1級FP技能士)、住宅ローンアドバイザー

<執筆者のプロフィール>
住まい・資産運用・保険3つの分野に強いファイナンシャルプランナー。ライフプランを中心とした総合的な観点からアドバイスを行う。

長谷ファイナンシャルプランナー事務所