新築住宅の住宅検査(竣工検査)の現場レポート 2016年8月

住宅コンサルティングのアネストのスタッフが、住宅診断(ホームインスペクション)の現場に同行したときの様子を公開するホームインスペクション・レポートです。今回、大阪府四條畷市で実施された住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)の現場に同行してきましたので、その様子をレポートさせて頂きます。

対象の建物は木造2階建て住宅で、住宅検査を担当するのは、一級建築士の蔦村さんです。

一級建築士の蔦村氏

住宅あんしん工程検査(建築中の住宅検査)とは、新築一戸建てを建築する過程を複数回にわたり検査するサービスです。検査の回数やタイミングは、建物のプランや、お客様のご要望(予算・回数)を担当者がお伺いし、ご相談のうえで決めさせていただきます。

さて、今回の宅あんしん工程検査では「8回コース」をご依頼頂いたお客様の物件で、その第8回目の検査でした。8回コースの8回目ですから最後の検査なのですが、多くの場合、最後の検査は建物が竣工したときの「竣工(完了)検査」となります。

お客様と蔦村さんは、検査の度にお会いしており、挨拶を交わした後、すぐに検査がスタートしました。

和室の検査

まずは、和室から検査スタートです。

和室の畳下の検査

和室では、畳の設置状況や、畳下地材にひび割れ・カビなどが無いかどうか等の確認をします。蔦村さんが、細いピックのような物で、畳を持ち上げています。畳の下は、めったに見られるところではないので、お客様にも一緒に確認して頂きました。

畳下地材に、ひび割れやカビ等なく、問題ない状態でした。

サッシの検査

次は、サッシの確認をしています。

サッシのチェック

サッシの確認事項は、動作確認・鍵の施錠・ビスの締め付け・ガラスの割れがないかどうか等の確認をします。

蔦村さんが確認すると、全体的にビスの締め付けが緩かったようです。写真は、その場で施工者様に指摘しているところです。ビスの締め付けが緩いと、サッシががたつくだけでなく、拭き掃除などをする際に、ビスが手にひっかかりケガをする恐れがあります。その事を、蔦村さんからお客様に説明させて頂き、ご納得されていました。

トイレの検査

次は、トイレの検査です。

トイレのチェック

トイレでは、便器(設備)のほかにも床・壁・扉・収納等の確認をしますが、この写真では、便座・便器の取り付けの確認をしています。

トイレの左右

便器の取り付け方に左右の差がありました。上の写真を見ると右側には隙間がありませんが、左側には少し隙間があるのがわかりますか?施工会社に確認すると、湾曲しているものだから、どうしても隙間ができてしまうという回答でした。しかし、できるだけ隙間を小さくするよう、補修して頂ける事になりました。

台所の検査

次は、台所の排水状況の検査です。

キッチンのシンク下

シンクに水を流しながら、シンク下の排水管に水漏れがないかどうか覗き込んで確認しているところで、周りは明るいですがシンク下は暗いため、ライトを付けて細かく確認をしています。問題ありませんでした。

以下の写真では、キッチンの収納を確認しています。

キッチン収納

確認事項としては、扉・引き出しの動作・戸当たりの位置・棚板のがたつき等です。目視で確認しつつ、実際に開閉させてチェックしていきます。

収納扉のずれ

検査の結果、収納扉の位置が、左右で若干異なりました。写真では、わかりにくいですが、右の扉の方が、左の扉よりも少し下がっています。その場で、施工者様にお伝えして、補修して頂く事になりました。

この箇所は、素人の私だと、うっかり見落としてしまいそうな指摘でした。こういった細かな施工精度のチェックは、素人だと見落とす事があるので、非常に助かりますね。

床下の検査

以下の写真は、台所の床下収納庫から床下を確認しているところです。

床下点検

床下を覗き込んで懐中電灯で照らしながら確認しています。床下では、基礎内側の状態・断熱材や束の設置状況・土台などの確認ができます。

床下の束

写真は、床下にある束と呼ばれる、大引き等を支えるものです。これまでに金属製の束はよく見る事がありましたが、プラスチック製の束は、あまり見たことがなかったので、蔦村さんにプラ束(プラスチックの束)はよく使用するものかどうか、尋ねてみました。最近は、金属製の鋼製束以外に、プラ束が増えてきているそうです。

床や壁の傾き検査

次は、各部屋の床や壁の傾きを計測しているところです。

レーザーで床の傾斜確認

上の写真はレーザー水平器で床と壁の傾斜を測定しているところです。下の写真は壁を水泡タイプの水平器で測定しているところです。傾斜は場所や状況にもよりますが、水泡タイプのものとレーザータイプのものを併用して調査しています。

壁の傾斜確認

お客様にも傾きがない事を一緒に確認してもらいました。

ユニットバス天井点検口から検査

次は、ユニットバスの点検口から、天井裏の確認をしているところです。

ユニットバス点検口

そして、以下がこの点検口から覗いた、天井裏の写真です。

天井点検口の内部

ユニットバスの点検口からは、換気ダクト・各配線の取り付け状況・断熱材の有無の確認ができます。この住宅では金物の一部も確認できています。きれいに配線がされており、また断熱材の設置状況も良好で、問題ない状態でした。このような普段見ることのない場所を入居される前に確認しておきますと、それだけで安心感が増しますね。

玄関の検査

次は、玄関の収納を確認しています。

玄関

収納扉を開くと、扉が玄関の壁上部にあたりました。このままであれば、壁にも扉にも傷がついてしまうので、戸当たりを設置した方がいいと判断。その場で施工会社に伝えると、すぐに「涙目」と呼ばれる戸当たりを付けて頂けました。

以下の写真は、玄関タイルの検査の様子です。

玄関床のタイル検査

玄関のタイルを、打診棒で軽く滑らせています。滑らせている時の微妙な音の変化で、タイルに浮きがないかどうかを確認しています。タイルに浮きがあると、打診した際の音が他よりも軽くなります。音の変化もなく、タイルが問題なく設置されている事が確認できました。

壁・天井クロスの検査

次は、クロスの検査です。

内装クロスのチェック

この写真は、天井のクロスです。写真では、全く写っていませんが・・・、実はこの天井クロスに、直径30~40センチ位の薄い黒い染みのようなものがありました。

蔦村さんによると、「その箇所の上はバルコニーなので、雨漏りの可能性も考えられる。しかし、あまりにも黒い染みがきれいな円形なので、おそらくクロス自体の汚れではないかと推測できる(もし雨漏り跡なら、きれいな円形にはなる可能性が非常に低い)。」との事でした。

そして、その染みが大きいので、クロスを貼り替える必要があり、その際に、壁下地材の状態の確認(壁下地材に、雨漏り跡がないかどうかの確認。)をしてもらうよう、蔦村さんより施工会社に依頼しました。

この件に関して、後日、施工会社より蔦村さんに報告がありました。黒い染みは、雨漏り跡ではなく、クロスの汚れだったとの事。もちろんクロスの貼り替えも行ったそうです。(一安心しました!)

大きな染みなどあったら「雨漏りしているのでは?」と、不安がよぎりますが、蔦村さんの推測があった事によって、余計な心配をする事なく、補修してもらえたように思います。何も無いのが一番ですが、このように何かあった時には、プロが同行してくれるだけで、安心感が全く違うと、実感しました!

住宅検査(竣工検査)は問題なく終了し、最後にお客様へご挨拶をさせて頂き、完了となりました。

今回の住宅あんしん工程検査の竣工(完成)検査は、約2時間かかりました。一戸建ての検査では、基本の検査のみで約2時間かかります(オプションの床下、屋根裏の詳細検査を付けると、3時間~3.5時間程度かかります)。

夏の炎天下での検査であったので、お客様・施工会社様・検査担当者の全員が汗だくになり、途中で一度水分補給の休憩タイムを取りながらの竣工検査となりました。今後、夏場の現場へ行かれる方は、水分補給ができる飲み物やタオル、凍らせた保冷剤などをご持参される事をお勧めします。

最後に、お客様には、検査風景の掲載を快く承諾して頂き、ありがとうございました。また、最後までお読み頂いた皆様、ありがとうございました。
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