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住宅購入の基礎知識「容積率と建蔽率」

住宅購入の基礎知識「容積率と建蔽率」

住宅を購入するときには、様々な専門用語を耳にすることになりますが、なかには購入時や購入後のためにも理解しておくべき用語がいくつもあります。よく出てくる用語について、解説する住宅購入の基礎知識シリーズとして、今回は、容積率と建蔽率について解説します。

容積率とは

容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合です。ちなみに、延床面積とは建物の各階の床面積の合計です。

容積率の事例1

事例をあげてみましょう。木造2階建ての住宅があり、各面積は以下の通りであるとします。

敷地面積(土地の面積)  100平方メートル
1階の床面積  60平方メートル
2階の床面積  50平方メートル
延床面積  110平方メートル

この住宅の容積率は、110%(=110平方メートル÷100平方メートル×100)ということになります。

容積率の事例2

東京や大阪などの都市部では、狭い敷地に3階建ての住宅を建てていることも多いですね。これをイメージした事例をあげてみましょう。

敷地面積(土地の面積)  68平方メートル
1階の床面積  38平方メートル
2階の床面積  35平方メートル
3階の床面積  35平方メートル
延床面積  108平方メートル

この事例の住宅の容積率は、158.8%(=108平方メートル÷68平方メートル×100)となります。

容積率には上限がある

住宅購入時に確認しておきたい容積率は、上の事例のように現存する建物の容積率だけではありません。容積率の上限も知っておかなければならないのです。

容積率の上限とは、何でしょうか。

多くの土地所有者は、その土地にできるだけ大きな建物を建てたいと考えるものです。自宅を建築するならば建物が大きなほど居住スペースが広くなりますし、賃貸用マンションやビルを建てるならば、広い部屋にしたり、貸室を増やしたりすることで家賃収入を増やすことができるからです。

しかし、土地所有者が自由に大きな建物を建ててしまうと日照・通風・防災・景観などにおいて様々な問題が生じてしまいます。そこで、容積率の上限を設けることで、街づくりをコントロールしているのです。

建物の大きさ(延床面積)は同じ敷地面積であっても容積率が大きいほど延床面積が大きいことを意味します。100平米の土地で容積率が150%ならば延床面積が150平米ですし、容積率が200%ならば延床面積は200平米です。

上限を設けることで、建物の大きさが制限されるということですね。

容積率を左右する2項目

容積率の制限は、その土地条件によって決められているもので、所在地の用途地域ごとの指定容積率および前面道路の幅員によって求められるものです。

用途地域ごとの指定容積率による制限

閑静な住宅地では、容積率の数値を低く設定することで、その住宅地の環境を守っています。たとえば、容積率が80%の150平方メートルの土地であれば、延床面積は120平方メートル以下の建物としなければなりません。

閑静な住宅地となっているエリアの用途地域は、第1種低層住居専用地域や第2種低層住居専用地域となっていることが多いですが、この地域では指定容積率が50~200%の間で設定されています。

また、商店街などの用途地域は近隣商業地域となっていることがよくありますが、指定容積率が100~500%の間で設定されており、指定される容積率によっては大きな建物を建築できることがわかります。商店街棟ではビルやマンションが建築しやすいわけです。

用途地域ごとに指定容積率を決めており、これによって計画的な街づくりをしようとしているのです。

前面道路の幅員による制限

容積率は指定容積率だけで決まるものではありません。前面道路の幅員の影響を強く受けることがあります。

敷地の接する道路の幅員が12メートル未満の場合、道路幅員×0.4(住居系の用途地域の場合)で算出されます。ただし、住居系以外の用途地域では、道路幅員×0.6で算出されます。

前面道路の幅員が6メートルの住宅地である場合、240%(=6×0.4)が容積率の上限となり、幅員が4メートルの住宅地である場合、160%(=4×0.4)が上限となります。

それぞれの土地に対して、用途地域ごとの指定容積率による制限と前面道路の幅員による制限の2つがあることになりますが、採用される容積率はいずれか低い方です。

住居系の用途地域では指定容積率が200%となっている地域が多いですが、住宅街の道路幅は4メートルほどであることも多いです。道路幅が4メートルであれば、前面道路の幅員による制限が160%となりますから、低い方である160%がその土地に対する容積率の上限ということになります。

この条件に該当する住宅は多いため、購入しようとしている物件の容積率の上限が160%だという人は多いことでしょう。

建蔽率とは

次に建蔽率について解説します。「けんぺいりつ」と読みますが、不動産会社の資料などでは、「建ぺい率」と記述されていることが多いですから、ここからは「建ぺい率」と書くようにしますね。

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。建築面積を正確に理解できないとわかりづらいですね。建築面積とは、建物の水平投影面積です。

水平投影面積と聞くともっとわかりづらいでしょうか。これが不動産用語の困ったところです。水平投影面積とは、建物を真上から見下ろしたときに、全ての方位で最も外側にある壁をつなぎ合わせた面積のことです。「住宅の面積(敷地面積、建築面積)」も参考にしてください。

建ぺい率の事例1

建ぺい率をもう少し理解するために事例をあげてみましょう。平屋建て(1階建て)の住宅をイメージしてください。

敷地面積(土地の面積)  100平方メートル
1階の床面積  60平方メートル
延床面積  60平方メートル

この住宅の建ぺい率は、60%(=60平方メートル÷100平方メートル×100)ということになります。

建ぺい率の事例2

次に2階建ての住宅でイメージしてみましょう。

敷地面積(土地の面積)  100平方メートル
1階の床面積  60平方メートル(水平投影面積と同じとする)
2階の床面積  50平方メートル
延床面積  110平方メートル

この事例の住宅の建ぺい率は、60%(=60平方メートル÷100平方メートル×100)となります。

同じ面積の住宅であっても、この事例で2階の一部が1階の外壁よりも外側に出ていて、水平投影面積が65平方メートルということもあります。この場合の建ぺい率は65%です。

建ぺい率にも上限がある

容積率のところで上限があることを建ぺい率にも上限があります。都市計画には欠かせない制限です。

用途地域ごとに建ぺい率の範囲が定められており、地域によってその範囲のなかで建ぺい率が決められています。たとえば、建ぺい率が40%や60%と決められていることがあります。

但し、建ぺい率が80%とされている地域で防火地域である場合には、建ぺい率の制限はないこととなっています。また、特定行政庁が指定する角地や防火地域内の耐火建築物である場合には、建ぺい率が10%緩和されます。両方の条件を満たす場合には20%も緩和されます。

たとえば、その地域の建ぺい率が60%と決められているものの、対象の土地が特定行政庁が指定する角地であるならば、建ぺい率は70%となりますから、より大きな建物を建築することができ、有利な条件だと言えます。角地は日照が良いこともあって人気ですが、こういったメリットもあるのです。

狭小地の問題点

建ぺい率が住宅の建築に与える影響は大きいです。特に狭小地においては注意が必要です。

敷地面積が60平米の物件で、建ぺい率の上限が60%である場合、建築面積の上限は36平方メートルということになります。60平米程度の土地であるならば、土地所有者としては敷地一杯に建物を建築したいと考えるものですが、それができないのです。

その結果、狭小地に3階建ての住宅を建築するケースが多いわけです。3階建てならば、建築面積を抑えつつ延床面積を大きくすることができるからです。しかし、垂直方向に細長い建物は耐震性、耐風性などの面で不利ですから、購入するときに理解しておいた方がよいですね。

また、中古住宅を購入するケースでは、この建ぺい率や遵守していない物件が多いことも理解しておいた方がよいです。昔はこの規制を守らずに建築している住宅が多かったため、建ぺい率がオーバーしてしまっている物件が数多く存在しているのです。

こういった物件を購入すること自体はダメではないのですが、将来、建替えするときには、その建物よりも面積が小さなものしか建築できないのです。ちなみに、今は違反建築には厳しいですから、建替えするときにも違反しようとしてもダメです。
容積率と建ぺい率は、住宅の購入や新築に深く関わる用語ですから、理解しておきましょう。

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